権利証を紛失しているときは2

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

昨日の記事(コチラ)の続きです。前回は権利証を紛失した際に、法務局から発送される事前通知についての内容でした。

実は申請中の抵当権抹消登記で事前通知を活用しているものがあり、事前通知発送から2週間以内に金融機関に事前通知を返送していただく必要があったのですが、間にゴールデンウィークを挟んでいたため少し心配していました。しかし昨日無事登記が完了したため安心しました。

さて本題に戻ります。

権利証(登記識別情報)を紛失しているときの事前通知以外の方法としては、「資格者代理人による本人確認情報の作成」があります。これは不動産売買などにおいて、金融機関の担保権設定などが絡み、不動産取引の決済日のうちに登記申請を提出しなければならない場合に活用されます。

不動産の売主と司法書士が面談の上、以下のような書類を司法書士が作成し、別書類を添付して提出します。

上記の方法であれば登記申請後に事前通知が発送されることもなく、時間がかからずに登記完了まで処理が進んでいくことになりますが、司法書士に支払う費用が発生します。この費用は司法書士により異なりますが、司法書士の責任において作成する書類であるため、5万~10万円程度の価格帯となります。

その他の方法としては、公証人の認証を受けるという方法です。これは公証人役場に出向き、公証人の面前において登記申請の委任状に署名捺印をすると、公証人がその委任状が真正なものであるという認証をします。その委任状とともに登記申請をするという方法です。この場合、公証人に支払う費用は数千円程度です。

なお、上記の本人確認や事前通知制度を利用する場合において、売主が住所変更をしている場合、「前住所通知」という制度を利用する必要があります。これは売主が住所変更している場合に、以前の住所(登記上の住所)に通知を発出し、そのまま返送されてくれば手続を進められるというものです。司法書士による本人確認の場合、この前住所通知は省略されますが、公証人の本人確認の場合は前住所通知は省略することができませんので、ケースに沿って検討することが必要です。

権利証を紛失している場合でも不動産の売買や贈与自体は可能ですが、不必要な出費を減らすためにも今一度権利証がお手元にあるかご確認の上、より大切に保管することをお勧めいたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。