マンション相続の際の登録免許税と注意点

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

マンション相続についてです。基本的にするべきことは戸建の相続登記の際と同じです。しかし、登録免許税や申請の件数において相違が出てきます。特徴の一つである登録免許税の計算について解説します。

戸建の登録免許税の計算

まずは簡単な方から解説します。多くの場合、戸建の相続登記は土地と家屋それぞれ登記する必要があります。土地と建物別々に登記申請することもできますし、1枚の登記申請書にまとめて申請することも可能です。この場合の登録免許税計算の基準となる金額は、固定資産税課税通知書に記載されている評価額を基にしますので、わかりやすいです。

なお、土地建物に共有者がいる場合(夫婦で持分を2分の1ずつにしているような場合)は更に持分を乗じる必要がありますので、注意が必要です。

マンションの登録免許税の計算

昭和58年頃より後に竣工したマンションは原則として土地と建物の分離処分が禁止されます(敷地権化と言います)。つまり、居室についてのみ相続登記をすれば、マンション敷地の所有者の所有者も自動的に居室の所有者と同一になります。ただし、登録免許税計算の際に注意しなければならないのは、居室のみではなく、土地の登録免許税も計算しなければならないところです。

居室については課税通知書に評価額の記載がありますので、それを基に計算して構わないのですが、土地については基本的に複数人で共有されているためその持分を乗じなければなりません。大体「1万分の356」とか数字が複雑になりがちですので計算ミスをしないよう注意が必要です。さらに居室が共有であればさらに2分の1などの数字を乗じる必要があります。

マンション敷地はそれなりに広い土地ですので、一筆の土地の評価額は高額です。しかし、上記のように持分計算を重ねることで価格はどんどん安くなります。その際の注意点ですが、最終的に持分価格が100万円を切った場合、「租税特別措置法第84条の2の3第2項」が適用されることにより非課税となります。しかしこれを記載しないと免税とはならず課税処理をされますので注意が必要です。

なお、昭和58年以前に竣工したマンションは、居室部分と土地が分離されておりますので、それぞれ相続登記申請を行う必要があります。居室のみの相続登記を入れ土地の部分を忘れてしまいますと、後日、土地の相続登記懈怠の過料通知がくることがありますので注意が必要です。

その他注意点

かつての勤務先での経験です。10年以上前にマンションの相続登記をして所有者となったお客様より、共有部分の相続登記に漏れがあったため売却ができないという連絡がありました。

この事例、マンションは敷地権化されておりましたので居室のみの登記を行っていたのですが、マンション住人の共有不動産である「ごみ集積場」「集会場」を見逃して相続登記がなされていたのです、そのため売買ができなかったという事例でした。その後すぐに登記は完了し苦情には繋がらなかったのですが、こうした見落としから過料通知がくることを考えると司法書士としては身が引き締まる思いです。


以上、マンションの登録免許税と注意点について解説しました。マンションについては申請書の記載方法も複雑になりがちですので、ご不明点あればご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。