全部事項証明書(登記簿)を確認しましょう

札幌市中央区宮の森の司法書士、鷲頭です。

タイトルの「全部事項証明書」これを「登記簿」と呼んだりしています。登記には大きく分けて、「不動産登記」「商業登記」の2種類があります。相続登記は、不動産登記の1つです。

司法書士が登記申請依頼を受けて登記申請をし、登記完了した場合は全部事項証明書を1通取得します。事務所によって異なるかもしれませんので一概には言えませんが、基本は取得しているものと考えております。

理由としてはお客様へ納品するためでもありますが、申請した通りに登記がなされているかチェックするという意味合いもあります。

私が勤めていた個人事務所では全部事項証明書を取得し、申請書の写しと一字一句照らし合わせながらチェックをするという運用でした。少し手間がかかりましたが、この作業は必須と考えております。法務局の窓口または郵送で、書面による登記申請をした場合、登記官はそこに書かれた文字を見ながら登記情報を作成していると思われるのですが、人の手が介在する以上ミスは起こりえます。以前こちらの記事にしましたが、「ハイフン」なのか「伸ばし棒」なのか相違がでてくる状況にもなります。(ちなみに「ハイフン」「伸ばし棒」は同じ文字の扱いという回答をその際得ました)そのため、書面申請をした際には全部事項証明書を入念にチェックしたほうがよいでしょう。

オンライン登記申請した際、登記官はその情報をコピー&ペーストしてコンピューターの登記情報を入力していると考えられます。そのため申請書自体にミスが無い限り、間違いが起こりえないようにも考えられます。法務局も当然万全のチェック体制が整っていると考えられるため、年間数百件と登記申請しているその事務所でも法務局による登記ミスは見なかったのですが、唯一あった登記ミスが、オンライン申請の際に起きたものでした。

作成した申請書にミスはなかったのですが、コピー&ペーストをする「始点」を間違っていた(と考えられる)ため、なぜその登記がなされたのか不明な全部事項証明書が出来上がってきました。

本来、緑色で示した部分のように、「原因 令和6年1月10日相続」したことにより所有権が佐藤花子さんに移転したということを示します。(ちなみに、その上の所有権保存は原因がない登記なのでこれで問題ありません)

ところが、出来上がってきた全部事項証明書は以下のようなものでした。

原因部分が抜けています。これだと売買なのか贈与なのか相続なのか、どういう理由で佐藤花子が所有権を取得したのかがわかりません。

なお、このようなことがあった場合、すぐに法務局に連絡したほうがよいでしょう。登記が完了してすぐなら登記官の方で正しい情報に訂正をしてくれます。これが時間をおいての連絡となると、更正登記をしなければならなくなるなど余計な手間がかかってしまいます。

いかがでしたでしょうか。全部事項証明書のチェックについて解説をしました。全部事項証明書を取得してみて、その見方に迷うようでしたら司法書士までご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。