合同会社の設立前後にかかる費用

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

当事務所では合同会社の設立に力を入れております。そこで、いくつか合同会社設立に関する記事を当サイトで取り扱ってきましたが、設立前後にかかる費用について考えてきたいと思います。合同会社は出資者=経営者で、これを「社員」と呼びます。(一般的に用いる従業員の意味ではありません)社員1人で合同会社を立ち上げたという想定で記事を進めます。

設立前費用

ここでは最低限の費用を記載するにとどめます。

業種によってかかる費用(オフィスを借りる、自宅で起業、オフィス家具仕入れ有無など)はマチマチですし、その点は、考慮せずに解説を加えていきます。かかる費用として考えられるのは、

①登録免許税(最低6万円)※資本金×0.7%、または6万円のどちらか高いほうが登録免許税額です。設立までに時間的猶予があれば、各自治体が支援機関と連携して行う「特定創業支援等事業」を受けることをお勧めします。この6万円が半額の3万円になります。

②定款作成印紙税(4万円)※紙で作成する場合のみ収入印紙を定款に貼る必要があります。定款をデータで作成した「電子定款」であれば印紙税はかかりませんが、電子署名を入れるためにはICカードリーダライタやAdobe Acrobat、SkyPDFなどの専用ソフトが必要になります。これらを揃えれば4万円をギリギリ下回ることができそうです。PDF編集ソフトは業務上使用する業種も多いと思いますので、電子定款で作成することをお勧めします。なお、公証人に定款認証をしてもらう必要はないため株式会社でかかる3~5万円の公証人手数料はかかりません。

③資本金(1円~)※設立前に出資をする必要があります。金銭の場合は1円以上出資する必要があります。金銭以外の出資(現物出資)をすることも可能ですが、場合によっては弁護士や税理士費用や現物の譲渡にかかる税金などが発生しますので、事前に確認することをお勧めします。

④その他費用※設立と同時に印鑑届をする場合は、印鑑を作成する実費や印鑑証明書取得費用(1通450円)、全部事項証明書(1通600円)等の費用が掛かります。

まとめると、

登録免許税3万円+SkyPDF1万5千円+出資金1円+会社印鑑5千円+印鑑証明書450円+全部事項証明書600円=5万1050円

理屈の上で一番安い価格は上記金額になると考えられますが、実際は交通費など細かな出費が発生します。

設立後費用

必ず掛かるランニングコストは、法人住民税です。法人住民税です。法人住民税とは、法人の所在地の都道府県と市区町村に納める税金です。
年間で最低7万円が掛かります。

当然ながら家賃や光熱費など他にも発生する費用がありますが、業種により様々なためここでは割愛します。

また、株式会社では必要な決算公告や役員登記などが掛からないため、合同会社の方がランニングコストは優れていると言えるでしょう。


株式会社に比べ、手軽に設立できる合同会社は近年、設立件数が増えてきております。個人事業主の法人成りとしても活用できますので、ご検討ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。