名寄帳の問題点
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
先日、市税事務所で名寄帳を請求しに行きました。名寄帳は被相続人が持っている不動産の一覧表です。相続人が把握していない不動産を調べるために有用な資料であり、固定資産税課税通知書が無い場合でも、評価額が記載されているため、法務局に提出する書類としても活用できます。
ところで何がその問題点なのかというと、市税事務所にて名寄帳の閲覧請求をしたところ、そこには課税明細に載っている不動産しか記載されていない訳です(課税明細書を事前に確認していたためこれ自体は問題ではありません)。事前にお客様が把握されているすべての土地の権利証を閲覧させてもらっていたのですが、いくつかの不動産が課税明細と名寄帳に書かれていない状況でした。
名寄帳に記載されていないと不動産の評価額がわからないということもありますが、職員に事情を説明したところ、もう少し確認しますと言って、その後権利証にのみ記載されている不動産の名寄帳を出していただき、事なきを得ることができました。
しかし、今回の件においてはお客様が権利証を保管されており、私が事前に土地の地番を把握していたために市税事務所に指摘をすることができましたが、お客様が権利証を持っていなかった場合、登記漏れが発生していたことでしょう。名寄帳を取得するたびに市税事務所の窓口の方に、「本当にこれで大丈夫ですか?」なんて聞くわけにもいきませんし、基本的に出されたものを信じるしかできません。今後、所有不動産記録証明制度によってこの問題が解消されるとは言え、現時点では上記の問題が潜在していることを把握し、お客様に周知する必要があるかもしれません。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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