登記識別情報が通知されないケース

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

不動産を相続する際に、登記識別情報(昔でいうところの登記権利証)がないことはあります。

相続登記は、権利の保存行為としての意味合いがあるため、相続人全員が揃って申請をしなくても共同相続人の1人が代表して登記をすることができます。ただしこれは、申請をする共同相続人も相続不動産の共有者として名を連ねることが必要です。

例えば被相続人X、共同相続人として妻A、長女Bの2人がいる場合で考えてみましょう。以下のイラストのケースです。

この状況で被相続人X名義の土地があった場合、妻A、長女Bがそれぞれ法定相続分に従うと2分の1ずつ相続することになります。そしてそのまま相続登記を法定相続分通り2分の1ずつでする場合は、いずれか一方が代表して相続登記申請をすることができます。しかし、例えばAが相続登記を申請する場合、登記完了後に登記識別情報が通知されるのはAのみで、申請人ではないBに対しては登記識別情報は通知されません。

さらにA、B間で、不動産はBのみが単独で相続するという内容で遺産分割協議がまとまったとします。その場合、Aは共有者にはなりませんので、この相続登記の申請人にはなれません。

不動産を共同相続する場合、相続人全員が申請人になることが望ましいですが、必ずしも連絡を取り合える関係性でないことがあります。しかも相続登記の義務化により今後、相続登記を急ぎ、相続人の1人が相続登記を申請したために、登記識別情報を持っていない不動産所有者が多くなることが予想されます。登記識別情報は不動産を処分(売却、贈与等)するとき基本的に必要になる書類ですが、登記識別情報が無いからといって不動産権利がないという訳ではなく、登記識別情報を提供する以外の方法により不動産の処分を行うことも可能です。ただしその際に司法書士や公証人に支払う手数料などの出費が発生する可能性が高いため、可能であれば相続登記の申請人になり、登記識別情報を入手しておくことをお勧めいたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。