遺産に株式がある場合②

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

昨日上げた「遺産に株式がある場合①」の続きです。

本記事では、株式の取引がしやすい上場株式について記載していきます。

はじめにすべきこと

被相続人が上場株式を保有していた場合、証券会社から「取引残高証明書」が送付されているはずですので、まずは遺品の中にそれが無いか確認をしてみましょう。

取引残高証明書を見れば、その証券会社における株式の保有銘柄や数が記載されております。

当然、保有株を管理している証券会社も判明します。なお、取引残高証明書が見つからず、利用していた証券会社がわからない場合ですが、利用していた可能性のある証券会社に対して取引口座の有無を照会したり、証券会社の見当がつかない場合は「証券保管振替機構(ほふり)」に対して「登録済加入者情報の開示請求」を行うといった方法もあります。

株式の承継手続の流れ

上記の取引残高証明書の送付元である証券会社に電話連絡をし、相続手続のための書類を郵送してもらいます。

流れとしては「金融機関口座の解約」と基本的に同じです。しかし、相続人が証券会社の取引口座を開設していない場合、「新たに証券取引口座の開設手続が必要になる」「すぐに解約手続きができない」という2点において、金融機関の手続とは異なります。

注意点

①上記「取引残高証明書」のみを根拠に手続を進めた場合、遺産の把握や承継に漏れが生じる恐れがあります。例えば複数の証券会社で、同じ会社の株式を分散して保有している場合等に把握・承継漏れが生じることがあります。これを防ぐには、その株式を発行している株式会社や、またはその株主名簿管理人である信託銀行証券代行部等から年に1回は届く、「株主総会招集通知」に同封されている「議決権行使書面」に記載されている「保有株式数」をご確認ください。

②株式の保有期間が長い場合、それが「単元未満株」「端株」となっている場合があり、それらは証券会社ではなく株主名簿管理人である信託銀行証券代行部の特別口座で管理されているため、信託銀行に対して相続手続をする必要があります。例えば単元株式制度を導入した会社で100株を一単元と設定した場合、それまで50株しか保有していない株主は単元未満株主となりますし、単元株式制度を導入していない会社であって1株に満たない株式0.5株などは端株と呼ばれます。

これらの株式については証券会社の口座へ移管する方法の他にも、相続人から単元未満株等を株式会社に買い取ってもらう「買取請求」をすることも可能です。

③すぐに売却処分はできず、あくまで相続人口座への移管の手続です。証券会社は株主名簿管理人に対して名簿の書換依頼を代行し株式を相続人名義の口座(相続人がもともとそこの証券会社に取引口座を持っていなければ新たに開設する必要があります)に移管を行いますが、株式を売却し換価する訳ではありません。

④配当金の受け取り方法について、金融機関口座への振込を指定していたなら問題ありませんが、金融機関の窓口において「配当金受領証」により現金で受け取りを選択していた場合、未受領の配当金がある場合があります。これらは株主名簿管理人である信託銀行証券代行部へ照会をすることで調査が可能です。


以上が、上場株式承継の手続の流れです。次回は非上場株式会社の株式についての解説の予定です。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。