エンディングノートの書き方はどうする?
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
エンディングノートという言葉を聞くようになってからかなりの年数が経つようになりました。法務局にて無料相談員をしている際にも無料配布しているエンディングノートを持ち帰られるお客様も多くいらっしゃいます。ですが、既成のエンディングノートをご覧になったことが無い方は、具体的に何を書けばいいのかが不明瞭であると思いますので、本記事ではその書き方について解説を加えたいと思います。
まず、遺言書との違いについて思い浮かんだ方が多いのではないでしょうか。そこで遺言書とエンディングノートの相違点を簡単にまとめましたので下図をご覧ください。
法的効力
エンディングノートには法的効力はありません。書いていたとしても、それは要望であり法的な強制力はありません。財産の処分方法に関する具体的な内容を記載したい場合は、遺言書を作成しておくべきです。エンディングノートを作成したからといって遺言書を作成してはならないということはありませんし、むしろ、共に作成しておくべきと考えます。
遺言書については法的な効力がありますので、自身の死後の財産の分割方法や処分方法についてその内容に従わせることができます。
記載条件
記載条件とは、書き方の形式です。
エンディングノートには記載条件がなく自由に作成してかまいません。紙に書いてもいいですし、スマホやパソコン内にデータとして遺しておくのもありです。
遺言書は記載条件が法定されています。自筆証書遺言でしたら、日付・氏名・全文を自書した上で押印が必要です。公正証書遺言なら公証人が作成するため、ほぼミスはないものと考えてよいですが、自筆証書遺言の場合は、遺言者の死亡後に遺言書に誤りがあれば遺言が無効となる恐れがあります。
記載内容
記載条件は書き方の形式面ですが、記載内容は書いている内容に関することです。
エンディングノートの記載内容は自由と言っても、それだけではいったい何を書けばいいのか迷ってしまうかもしれませんので、作成を検討されている方は、上図に書かれていることを参照してみてはいかがでしょうか。
遺言書に関しては、聞き慣れない法律用語が並んでおりますが、実務上、「この不動産はAに」「この動産はBに」といったような相続財産の指定を多く見かけます。
開封時期
エンディングノート、遺言書を開封する時期です。
エンディングノートには法的な効力はありませんので、いつ開封しても構いません。エンディングノート作成者が要介護状態になった場合の要望も書いている可能性がありますので、生前であっても、状況に応じて見てみると良いでしょう。
(法務局で保管していない)自筆証書遺言・秘密証書遺言の開封は、遺言者の死後に家庭裁判所における検認手続をすることです。(法務局で保管している)自筆証書遺言・公正証書遺言は検認手続が不要です。検認前に誤って開封してしまった場合、過料の対象になることはありますが、遺言書自体は無効とはなりませんので検認の申立ては行いましょう。
作成費用
エンディングノートを作成する場合の費用は安く、無料~数百円です。市販の物でも高くて数千円といったところでしょうか。
自筆証書遺言であれば用紙代の数百円程度で済みますが、公正証書遺言を作成する場合は遺言者の財産価格にもよりますが数万円程度の支出になります。司法書士等の専門職に依頼をすればその分の報酬費用も掛かってきます。
まとめ
エンディングノートと遺言書は似て非なるものですので、ともに作成しておくことをお勧めします。例えばエンディングノートで法務局が配布しているものですと、デジタル資産のログインID・パスワードを記入しておく項目があります。これは、今後の時代に確実に増えていくものですが、エンディングノートに書き記しておくことで相続人の手続負担を軽減できます。
最後に、法務局の配布しているエンディングノートのPDFデータをリンクに貼っておきますので、ご覧ください。
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投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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