マンションの登記は難易度が高い(こともある)

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

今回は、前回の登記漏れの記事に関する余談です。前回の記事はこちら

東京の司法書士事務所に勤めていた頃の話なのですが、事務所の近くに大きなマンションがありました。築年数は当時でも50年を過ぎている古いマンションです。2度ほどそのマンションの居室の登記を行ったことがあるのですが、これがなかなか大変でした。

一般的なマンションで通常の流れに従えば、必要書類を収集して管轄の法務局に1件の登記申請をすればコトが終わります。マンションの居室とその敷地を分離処分できないように「敷地権の登記」がされていることが多いため、そのようなマンションであればそれで済みます。

ところが敷地権の登記がされていなければ、居室の他に土地の登記申請をする必要があります。これを申請書一通でできるかという論点がでてきますが、本記事では一旦割愛します。

話を戻し、前述した大きな古いマンションですが、これはまず敷地権化されておりませんので、居室部分と土地それぞれ登記をしなければなりません。そして大きなマンションなので広い敷地も必要です。1筆(筆は土地の単位)の土地では足りず、複数の筆の土地の上に建って、マンションの敷地そのもの(法定敷地)の他に、マンション住民のための駐車場(規約敷地)がありました。これらすべて相続登記をしなければなりません。なお、マンションについて、所有権だけでなく、土地の地主が地上権や賃借権という権利を設定し、その上にマンションが建てられていることもあります。さらにさらにこのマンション、○○区と□□区の境をまたぐように建っているため、2つの法務局に申請を出さなければなりませんでした。

まとめますと、このマンションの登記をしようとすると

①土地の登記情報(オンラインで取得する登記内容を確認できるもの)は共有者が多すぎて取れない(登記事項が1000を超えてます)ので、直接管轄の法務局に行かなければならない。○○区と□□区それぞれの管轄に行きます。

②居室(所有権)、○○区の土地5筆(地上権2筆、賃借権3筆)、□□区の土地5筆(地上権2筆、賃借権3筆)をしなければならない。事前確認のために取得する登記簿は11通になります。

③法務局は○○区と□□区にそれぞれ提出しなければなりません。

という感じになります。ちなみにその管轄の法務局に登記簿を請求しに行くことが必須なのですが、そのマンションに関しては建物名を伝えるだけで伝わります。

マンションの相続登記をしようとして登記簿が分厚かったり、容易に取得できないような場合は相続登記がかなり困難になってきますので、なるべく司法書士にご相談することをお勧めいたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。