会社の所在場所はどこまで記載するべきか

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

会社を設立時や移転時、本店の住所をどこまで記載するか迷うことがあります。どういうことか解説します。

会社の登記簿を見ると、本店所在地が登記されます。以下のような感じです。

このような形で登記されております。ところで、会社はビルの一室を借りて営業を行っていることも多いのですが、ビル名や部屋番号は全て登記しなければならないか問合せを受けることがよくあります。

回答としては、全て登記する必要はないということになります。

具体的には「何丁目何番地何号」まで記載されていればよく、ビル名や部屋番号は省略することが可能です。以下、ビルの一室で営業している会社の本店登記それぞれのメリットデメリットを記載していきます。

ビル名・部屋番号全て記載しているパターン

【メリット:郵便物が確実に届く】ビル名と部屋番号が記載されているのであれば、必ず郵便物は届きます。

【デメリット:ビル名が変わることがある】ビルのオーナーが変わるとビル名そのものが変わることがあります。そうした場合、ビル名を登記しているケースでは本店移転の登記をする必要があり、登録免許税3万円が発生します。

ビル名・部屋番号を記載していないパターン

【メリット:ビル名の変更など関係なし】上記デメリットと対になるのですが、ビル名変更などあっても特に関係ありません。また、事業が大きくなって同ビル内で移転することがあった場合でも本店移転登記が不要なのはメリットと言えます。

【デメリット:郵便物が誤配される恐れがある】1階の路面店や、1フロア1テナントなど分かり易いビルなら問題無いと思いますが、テナント数が多く、郵便室などが備えられているようなビルもあります。私もそのようなところに勤めていたことがあるのですが、郵便物がうまく届かない可能性があります。取引先などであれば正確な部屋番号を伝えているでしょうが、登記簿を見て発送されるようなケースでは未着の可能性も残ります。


上記のメリットデメリットを考慮し、ビル名を省いて部屋番号を記載するという手段もあります。それであれば上記のデメリットを潰すことができます。設立や移転の際にどこまで本店所在地を登記するかについては、以上を踏まえてご検討ください。また、ご相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。