住所の表示が変更されている場合はどうする?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記をする際にまず、不動産の登記情報を取得し、内容を確認していきます。

被相続人が古くから不動産に居住していた場合、居住当初の住所の表示が、亡くなった時と異なっている場合があります。

「1丁目1番地(居住当初)」→「1丁目1番1号(亡くなった時)」という具合です。今回は、引っ越しによる住所変更ではなく、住んでる位置は変わらないのに住所の表示が変わった場合にどのような書類が必要になるのか解説します。

住居表示が実施されていた場合

前述した「1丁目1番地」→「1丁目1番1号」のケースです。相続対象の不動産への居住当初の住所が「1丁目1番地」で登記記録上もその住所になっているのに、後に行政の都合により「1丁目1番1号」に変更された(「住居表示実施」と言います)場合、不動産所有者が住所変更登記をしなければ登記記録は「1丁目1番地」のままです。行政側で住所変更登記をするということはありません。なお、相続登記を行う場合、被相続人が亡くなった最後の住所が「1丁目1番1号」となっているため、登記記録上の住所と最後の住所が同一であることを証明する必要があるため、「住居表示の変更証明書」(※名称は自治体により異なります)を取得して添付する必要があります。

行政区画の変更がされていた場合

こちらは市町村合併や区政施行などにより、隣接する市町村に合併されたり、政令指定都市になり新たに区ができた場合、区の分割により住んでいる地域が別の区名となった場合など様々なケースがありますが、これに伴って住居表示の変更がなければそれに関する証明書の添付は不要です。住居表示の変更がある場合は上述の通り変更証明書が必要になりますが、住居表示の変更を伴わなければ、「公知の事実」(区ができたことは誰でも知っている事実)としてそれを証明する必要はありません。


証明書添付の要否については上記の通りですが、先日住居表示実施の件で札幌市に問合せをしたところ、「証明を出せる方かどうか確認してみます」と言われ、住居表示実施以外の変更事項もあるということを伝えられました。気付かずに手続を進めていただ場合、その点で足止めされてしまう可能性を考えると、相続登記申請前に被相続人の住所地の役所に問合せをしてみたほうがよいでしょう。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。