合同会社設立登記の際の必要書類
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
合同会社設立に力を入れておりおますので、掘り下げていきたいと考えております。
Contents
設立の手続
以前執筆した記事「合同会社の設立方法」においても大まかな手続と必要書類について記載をしました。
以前の記事では上記の流れに沿って解説を加えましたが、本記事では必要書類を詳細に解説します。
必要書類一覧
まず、社員1名で合同会社を設立する際の基本となる必要書類は以下です。
1.定款
2.払込があったことを証する書面
3.代表社員、本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
4.印鑑(改印)届書
※会社届出印、個人実印を押印
5.印鑑カード交付申請書
※会社届出印を押印
6.委任状
※司法書士に依頼する場合のみ必要。会社実印を押印
7.代表社員の就任承諾書
※個人実印
8.社員の印鑑証明書
以下1つずつ見ていきましょう。
定款
株式会社と異なり公証人役場で定款認証をする必要はありません。しかし、設立登記申請の際に必要になりますので、作成は必須です。なお、絶対に記載しなければならない事項を以下にまとめました。
(1)目的 (2)商号 (3)本店の所在地 (4)社員の氏名又は名称及び住所 (5)社員全員が有限責任社員である旨 (6)社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準
これらを定めていない定款は無効ですので、登記申請の際に補正・取下げの連絡が来ることになります。
(6)が分かりづらいと思いますが、どういった財産(金銭、動産など)をいくら出資に充てたのかを記載するということです。
払込があったことを証する書面
これは出資者全員が、設立時社員1人の金融機関口座に出資金を払い込み、その通帳のコピーなどをホチキスでひとまとめにします。綴じ順としては、
1.払込があったことを証する書面
2.払込があった金融機関通帳の表紙
3.通帳の見開き部分(支店名が分かるように)
4.払込があった当該部分(ラインマーカーを引き、出資金であることが分かり易いよう目立たせる)
以上になります。
代表社員、本店所在地及び資本金を決定したことを証する書面
上記の内容を定款に定めていなかった場合は作成する必要があります。
いずれも変動する可能性が高いものですので定款で定めずに、上記書面を作成して定める方が良いでしょう。例えば定款へ記載する本店所在地は、最小行政区画までで構わないのですが、(「本店を札幌市に置く」としている会社がほとんど)本店所在地を定款に記載する方法を選んだ場合、会社の所在場所(正確な住所)まで記載しなければならず、場合によっては建物内で移転したような場合でも定款変更が必要になる場合などもあり煩雑です。
印鑑(改印)届書
こちらは、合同会社の実印とも言うべき印鑑の登録を届出るための届出書です。
左上の枠に、作成した会社の実印(代表社員印)を押印し、中ほどの右側の枠に代表社員の個人実印を押印します。
その関係で「8.社員の印鑑証明書」の添付が必要になります。
印鑑カード交付申請書
こちらは、合同会社が設立された後の手続になります(郵送であれば設立登記申請の際に、印鑑(改印)届書と併せて法務局へ送付しておけば、後日印鑑カードも一緒に受取可能です)
郵送する場合、「会社法人等番号」だけは会社が設立されるまでわかりませんので、空白のままで構いません。窓口で印鑑カードを受取る場合は、新たな会社の履歴事項全部証明書を請求し、そこに書かれている会社法人等番号を転記してから窓口に提出します。5~10分程度で新たな印鑑カードが作成されます。
委任状
司法書士に設立登記を委任する際にのみ必要となります。設立前ですが、新たに作成した印鑑の押印が必要です。
代表社員の就任承諾書
社員が複数いて、互選で代表社員を選任したような場合においては必要です。定款で代表社員を定めている場合には不要という扱いですが、当事務所では作成しております。
社員の印鑑証明書
「4.印鑑(改印)届書」の部分で解説しましたが、印鑑を提出する際に、個人実印と照合をするために提出します。発行後3か月以内の印鑑証明書を提出する必要があります。
今回は、合同会社設立における必要書類について解説しました。揃える書類はそれほど多くありませんが、記載内容に誤りがあったりすれば法務局での手続に時間を取られてしまいますので、スタート後の動き出しなどを考慮して、司法書士にご依頼いただくことをお勧めいたします。
投稿者プロフィール
-
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。