数次相続とは?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記のご相談を受ける中で、不動産の所有者が数十年前に亡くなっており、相続登記や遺産分割協議をしないまま、さらに相続人が亡くなっていることもあります。

このことを「数次相続」といいます。図にすると以下のようになります。

Aさんは亡くなった時点で土地を所有しておりました。しかし、相続人であるBさんと3人の子どもたち(左からXさん,Yさん,Zさん)は、土地について話合いをすることなく年月が経過し、Aさんの相続人であった妻Bさんも亡くなりました。Bさんの相続人は3人の子どもです。

ここで初めてAさん所有土地の所有権をXさんが単独で相続するという話合いがなされました。この時すでにAさん死亡から20年ほど経過していました。遺産分割協議には期限がありませんので、この遺産分割協議は有効です。

それでは、亡くなったBさんを除いた状態での遺産分割協議は可能なのでしょうか?

結論としてはBさんの死亡後、その相続人全員でする遺産分割協議は可能です。Bさんの、Aさんの相続人としての地位を子ども3人が承継しているからです。ただし遺産分割協議書への記載が「相続人兼被相続人B」というように特殊な書き方となりますので、遺産分割協議書の作成で悩まれた場合は専門家に相談することをお勧めします。

なお、遺産分割協議はせずに法定相続分で共有にしたい場合は、2件の登記申請を行う必要があります。1件目で[亡B3/6、XYZが各1/6ずつの持分]で登記を行い、2件目で[XYZが各1/6ずつ]の相続登記をすることで最終的にXYZが1/3ずつ共有することになります。余談ですが、共有についてはあまりお勧めしません。上記の例で相続した土地を誰かが売却しようとしても、共有者全員が同意しなければ土地全体を売却することはできません。しかし、その時点で共有者である兄弟姉妹が不仲で疎遠になっていたり、相続が発生していることもあります。持分だけを売却することも可能ですが、買い手はつきにくいでしょう。わざわざ知らない人と共有関係になる土地を購入しても、用途が制限されるからです。

長らく放置していた相続登記を進めようとした際に、想像以上に権利関係が複雑だったというケースも散見されますので、手続を進めるにあたって悩まれているようでしたら一度ぜひご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。