登記申請の際の住所に都道府県は含めるか

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記を含む不動産登記申請において所有権を移転させる登記の際、権利者(不動産を得る人)義務者(不動産を失う人)が登場します。申請書にはそれぞれの住所を記載する必要があるのですが、この書き方にもちょっとしたルールがあります。以下に解説を記載していきます。

都道府県名を記載するのが原則

札幌の近隣の市町村でしたら例えば「北海道北広島市」「北海道江別市」「北海道虻田郡ニセコ町」のように都道府県名から記載し、住民票や印鑑証明書に書いてある通りに記入するのが原則です。

しかし、都道府県名を省略できるケースもあります。それが以下です。

政令指定都市は省略できる

政令指定都市は都道府県名を省略することができます。札幌市の場合ですと、「札幌市~」から記入を始めることができ、北海道を省略することが可能です。割と新しめの政令指定都市ですと都道府県名を付けてしまいそうになることがあります。

ところで平成20年以降に政令指定都市になった市は「岡山市」「相模原市」「熊本市」の3つですが、このうち相模原市は政令指定都市であるという理由で「神奈川県」を省略できます。

「岡山市」「熊本市」も同様であるのですが、政令指定都市であること以外の理由で都道府県名を省略することができます。以下です。

都道府県名と市名が同一なら省略できる

上述した通り、「岡山県岡山市」「熊本県熊本市」と記載する必要はありません。県名と市名が同一だからです。政令指定都市である必要はなく、県庁所在地である必要もありません。

余談ですが、県名と市名が同じで県庁所在地ではない都市は「栃木市」「山梨市」「沖縄市」の3つだそうです。この3つは当然県名を省略できます。

不動産の所在と住所が同じ都道府県なら省略できる

例えば札幌のお隣の小樽市に不動産があり、権利者が江別市に住んでいる場合、同一の都道府県だから「北海道」を省略して「江別市~」から住所記載ができるというものです。

ルール上は一応そうなっているそうですが、ネット上の情報を見ると様々な体験談が散見されますので、絶対にできるかというと疑義が残ります。そのため、当事務所ではこのルールは採用せず、「政令指定都市なら省略」「都道府県名と市名が同一なら省略」ルールを採用しております。


登記申請には様々な決まり事があり、申請書の作成を自分でやろうと思ってもつまずくことが多々ありますので、不明な点がありましたら司法書士にご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。