相続関係説明図は必ず提出する?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記を司法書士に依頼せずに自分で提出される方は、法務局に備え付けてある「ひな形」を入手して、必要事項を記入する形で申請書類一式を作成されている方が多い印象です。

その中に相続関係説明図という書式が綴られております。以下です。

この様式では書きにくいというケースもありますが、この用紙でなければいけないと厳格に定められているわけではありませんので、適宜の様式で記載していただくことも可能です。例えば、当事務所では以下のように作成して提出することもあります。

この様式で相続登記を提出して、この書類に関して補正するよう連絡されたことはありません。

この相続関係説明図を提出する理由ですが、登記官が相続関係を把握するのに役立つという理由は基より、この用紙を提出することにより戸籍謄本のコピーを提出することなく原本還付をすることができるようになります。

この点につき詳しく解説をします。

相続手続を行う際、被相続人名義の不動産がある場合は法務局での手続を行うことになりますが、その他にも銀行口座の解約手続きや自動車の名義変更等の様々な手続をすることが多いです。そういった手続のほぼ全てにおいて被相続人の出生から死亡までの一連の戸籍謄本や、相続人の現在の戸籍謄本が求められます。戸籍謄本を取得するのにも費用が掛かるため、1セット揃えた戸籍謄本をそれぞれの手続において使いまわすのが一般的です。

そこで、登記申請をする際に、戸籍謄本類は返却してほしい旨の意思表示をしておくことが必要になります。例えば戸籍以外の書類で、住民票を返して欲しい場合は、住民票をコピー機でコピーし、そのコピーに「原本還付 上記は原本と相違ない(住所)法務一郎㊞」のように記入をし、住民票の原本とコピーを併せて提出することで原本を返却してもらうことができるようになります。

住民票や印鑑証明書だと1枚の用紙なのでコピーも容易なのですが、戸籍謄本一式をコピーするとなると、人によっては数十枚のコピーをしなければならない場合も出てきます。さらにコンビニなどでコピーを取る場合、費用も掛かってきます。それが苦でなければ戸籍謄本一式すべてのページをコピーし、原本還付処理をすることで、相続関係説明図を「提出せずに」戸籍謄本の返却をしてもらうことが可能です。

そのため、戸籍謄本を取り寄せてみて判断することが合理的だと思いますが、基本的にはそれほどの手間でもありませんので、相続関係説明図を作成してしまうことをお勧めします。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

相続関係説明図に作成方法についてご不明な点がありましたら、お問合せフォーム等からお気軽にお問合せください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。