行政書士試験の合格後
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
行政書士の試験ですが、司法書士の試験内容と数科目が被っているため、試験の親和性が高いです。そのため司法書士の中には行政書士の登録をし、兼業で事務所を運営されている方も少なくありません。私が司法書士特別研修で同じグループだった方々を見ると、半数以上の方が行政書士試験に合格しているという印象です。
私も行政書士試験には合格しているのですが登録はしておりません(登録費用の面で先送りにしてます)。ところで私は、司法書士試験より先に行政書士試験に合格しているクチなのですが、合格後一度、行政書士の就職先を探したことがあります。その際、札幌と東京にて事務所を探しております。本記事ではその経験を交えて記事にいたします。
なぜ就職先を探したか
これはおそらく行政書士の登録をしようとする方の永遠のテーマだと思います。試験と実務に関連性がないんです。司法書士試験であればメイン業務の登記に関する出題が大部分を占めているので、合格後即独立しても、苦労はしますが前提知識は入っています。それに対して行政書士試験の場合、民法や会社法は実務に役立ちますが、行政書士業務の王道ともいえる許認可に関しては試験科目にはないため、このことが独立に対してブレーキをかけている気がします。
私見ですが、許認可の王道である建設業や宅建業など何かしらの業法を試験に組み込むべきだと考えております。
少し話が脱線しましたが、実務の知識がない状態で放り出されるために実務の知識・経験を積むために修行先を探したい。そのために就職先を探したというのが当時の私の心情でした。
求人がほとんどない(札幌編)
これを言うと元も子もないですが、行政書士の求人は極めて少ない印象です(当時)。しかしネット検索すればそれなりにヒットします。これはどういうことかというと、同じ事務所が複数の広告媒体を使っていたり、そもそも資格者ではなく営業職や経理担当者を募集していたり、結局資格者の募集は少ないかもしれません。地域差はありますが札幌ではそのような感じでした。
そのような中、私は求人募集していた2つの行政書士法人を見つけ、電話をした後に履歴書を送りました。が、2社ともその後返事はなく書類返却もありません。7-8年経ちますが、おそらくまだ書類選考途中なのでしょう。
行政書士業務は資格者が一人いれば基本的には成立します。その他、補助者がいればそれでよく、実務経験を積んだら辞めてしまい商売敵になりうる資格者を育てる必然性が乏しいため、個人事務所ではあまり求人が出ないのが実情ではないでしょうか。
求人が結構ある(東京編)
なお、東京はさすがに大量に出てくるようです。法人が多いのでその分求人も多いです。
当時札幌に住んでいましたが、東京にある2つの事務所(ともに司法書士兼業事務所)に履歴書を郵送しました。1社は書類選考でダメでしたが、きちんと不採用の通知がされてきたことに感動しました。もう一つの事務所は面接の席を用意していただきました。飛行機で東京に行ったので、絶対採用されて元を取らないとと意気込んで行きましたが不採用でした。こちらも不採用の通知が届きました。
程なくして上京し、行政書士事務所への採用応募をいくつかしましたが、採用されぬまま時間が過ぎ、その後司法書士・土地家屋調査士事務所の補助者に採用されたため、ここで私の行政書士事務所探しは終わりました。
その後
上記で採用された事務所では1年半ほど勤務し、その間に司法書士試験に合格したのですが、その後2つ程の事務所での勤務を経験し独立に至りました。その2つの事務所はいずれも行政書士業務を行っている事務所だったのですが、前述した通り司法書士が行政書士業務を兼務している場合は多いです。結局私も独立直前に勤めていた事務所にて行政書士業務をせざるを得なかったため、そこである程度の実務経験を積むことができました。その経験から言えることは、可能ならば司法書士兼行政書士事務所も事務所探しの視野に入れてみるのはどうか?ということです。
私の場合、司法書士事務所で勤務している際、ある日突然所長に「建設業の事業年度終了届を作っといて」と言われました。
何のことかわかりませんでしたが、都道府県が用意している手引きを見ながら、わからなければ役所に電話してなんとか完了することができました。司法書士・行政書士事務所の場合、司法書士業務に重点を置かれる場合が多いものの、行政書士業務を経験することもできますし他士業の繋がりも持てます。
あとはやはり思い切って独立することです。受注→調べる→作成→申請→納品の流れはどんなに業歴が長くなっても変わらず、開業直後はその調べるという部分に時間を取られるだけの話ですから、見つからない就職先を探すより、早いうちに独立してしまうのも一つの手段かと思います。
今回は、行政書士試験合格後について記事にしました。行政書士登録してない奴に言われたくないわと突っ込まれそうですが、私の見解を述べさせていただきました。参考になれば幸いです。
投稿者プロフィール
-
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
最新の投稿
- 企業法務2024年10月11日商業登記の書類作成の際の押印の要否
- 雑談2024年10月10日ジムに行ってみた
- 実務2024年10月9日商業登記の際の失敗例
- 相続2024年10月8日相続放棄の家庭裁判所ごとの取り扱い