贈与の際の注意点
無料相談を行っている際にお客様から質問の多い、「贈与」についてです。
高齢のお客様が、ご家族の誰かに自身の不動産や金銭を渡してしまいたい。そのような相談が一定数あります。贈与は、ただ贈与者(渡す側)の気分で受贈者(受け取る側)に財産を渡すだけでなく、売買などと同じように贈与者と受贈者の契約で「上げる」「貰う」というお互いの意思の合致により贈与契約が成立します。
ですが、贈与契約を行う際には注意が必要です。以下に、贈与契約を結ぶ際に考慮すべきポイントをまとめました。
①当事者の意思確認
贈与契約は贈与者・受贈者によって自発的に行われるものでなければなりません。強迫(強制すること)や詐欺などの要素が含まれていないか、贈与者の真の意思が反映されているかを確認する必要があります。また、受贈者についても「受取る」意思が必要になります。
②法的な助言の取得
前述したとおり、贈与契約は法的な取引であるめ専門的な助言を受けることをお勧めします。司法書士や弁護士に相談し、契約書の内容や法的な影響について理解しておくことが賢明です。
③贈与税の確認
贈与は一定の金額を超えると贈与税が発生する可能性があります。贈与税のルールや免税枠などについて理解し、税理士など税務の専門家の意見を得る必要があります。
④贈与契約書の記載方法
贈与契約書には贈与の対象となる財産や金額、条件などを明確に記載しておくことが重要です。細部まで確認し、不明確な点がないようにします。記載のない財産については後日の争いの素となりかねませんので、漏れのないように記載しておく必要があります。
⑤贈与の時期と方法
贈与の時期や方法も契約書に含め、納税のタイミングや贈与者・受贈者双方の合意が一致するようにします。例えば複数回に渡って贈与をする場合、金額や時期によっては贈与税が発生してしまう可能性があるため注意が必要です。
⑥当事者の意思能力確認
①当事者の意思確認と似ていますが、贈与契約についての意思の確認はできるものの、当事者が未成年者である場合や、精神的に制約がある(成年被後見人・被保佐人・被補助人)場合は単独で有効な契約にならない場合があります。その場合、法的な代理人が必要となり、場合によっては家庭裁判所の許可が必要になります。
⑦将来的な問題への備え
贈与契約を結ぶ際には、将来的な紛争や問題に備えるための規定を含めることが賢明です。たとえば、贈与の取り消し条件や財産の管理に関するルールを考慮しそれを契約書に記載しておきましょう。
これらのポイントに留意することで、贈与契約がスムーズかつ法的に正確に進行し、関係者間のトラブルを未然に防ぐことができます。
以上、贈与契約には様々な要点を含みますので、贈与をする前に専門家へ相談することをお勧めいたします。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。