過去問の仕上がり具合について

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

司法書士試験まであと一か月ちょっととなりました。きっと今年合格する方たちは今頃追い込みをかけている頃かと思います。私が受験生をしていた頃は、勉強方法に自信が持てず、よくネット記事を漁りました。テキスト派、過去問派という単語をよく見た記憶があります。

最終的に私はテキスト派でした。ただし、これはインプットというよりは、テキストを読みながら頭の中で似たような論点・法律要件・判例先例などを「想起」しながら読むアウトプットを兼ねていますので、上記の派閥に当てはめるのであればテキスト派ということになります。そのため、テキストを読むのに時間がかかりますので、分厚い基本テキストは適しません。

このため、私はオートマプレミアなどの薄めのテキストを使用し、これを読み込んでいました。ただし辞書的なテキストも手元に置いておきたかったので、基本テキスト(リアリ)の主要4科目は購入していました。索引が充実しており検索性が高いので重宝します。※オートマプレミア欲しくなっても今の時期は止めておきましょう。

ところで、私は受験生の頃、「最終的に」上記の方法にたどり着いたのですが、初学者の頃は独学で、テキストは文字を眺めるだけ、過去問は解きっぱなしという、到底学習とは言えないようなところから入っております。その頃も必死でやっているつもりではあるのですが、やる気が空回りしているのみで効率的ではありませんでした。

そんな中、過去問は過去30年分のものを購入し、昭和時代まで遡った問題も含めて解いておりました。

前置きが長くなりましたが、過去問をどの程度仕上げたかについて共有していきます。

過去問をどのように解いたか

初学の頃はテキストにしても過去問にしても、多ければ多いほど良いという考えがありましたので、過去30年分全問(法改正で成立しなくなった問題や肢は除かれていました)を購入しました。確かTACさんが出版されていたと思います。択一の問題は1年で70問です。その30年分で2100問。司法書士に合格するには肢レベルで理解しなければなりませんので、5肢を乗じて10500問。ここから成立しなくなった問題があるとしても、1万問前後を解いていくことになります。(実際には重複論点がありますので、実質はもう少し減ります)

私は、初めから解いていきました。テキスト一巡してるからある程度解けるだろうという目論見でしたが、全く歯が立ちませんでした(笑)。おそらくそんな感じになると思うので、初めは問題をみて、すぐに解説を見る方が良いと思います。もしくは民法の総則をやった日は、同じ部分の過去問を解くということをします。そうするとある程度解けてしまうため、実力が付いた気分になります。が、それは罠です(笑)そして、そんなことを繰り返していると実力が醸成されてきます。

初めからでも構わないのでですが、問題ページの余白に以下のような表を書き込みます

問題を解いた日付と、肢別に

「×」←間違い。

「△」←理由は判断できなかったが何となく正解した。

「〇」←理由も判断できた上で正解した。

こんな感じで書き込みます。その上で、例えば〇が3回並んだ肢は問題から削除したり、別の年度で重複する問題は削除したり工夫して、解くべき問題数をどんどん減らしていきます。そうすることで効率的な過去問学習が可能になります。上図では3か月ごとになっていますが、過去問集の解くべき問題が減ることで回転数も上げることができますので、より短いスパンで同じ問題に帰ってくることができるようになり、記憶の定着率も高まると思われます。なお私は共同抵当の計算問題などについては、練習のために敢えて解けても残していました。

過去問集は問題丸ごと一題というよりは、肢別問題集として利用しておりました。本試験同様に組み合わせで解くとなると難易度が下がってしまうことと、目に触れない問題が出現してしまいますので、肢別として使用することをお勧めします。とは言え、直前期には論点別ではなく年度別、肢別ではなく組み合わせで演習するなど、徐々に本試験に近い形式での演習に近づけていくべきかと考えます。

その日に演習した肢別の正答率も出して、95%程度であれば本試験でいい点が取れると思います。あとの5%ですが、何度やっても×や△の問題がどうしてもでてきます。これは捨て問と考えていいと思います。過去問をやっていると、学説問題・推論問題が出てくるのですが、こういった問題の中に、正解とは関係なく入っている肢とかは何度考えても理解できず「×」「△」を重ねることになります。なので捨て問と感じましたら速やかに問題をカットしてしまうことをお勧めします。

さらに言うと、平成12年の司法書士試験問題についてもやらなくていいとすら思って、最後は私自身も飛ばしてました。


ただし、過去問についてここまで(過去30年も)やる必要はないと思います。むしろ消化不良を起こしてしまう恐れすらあります。

その後、合格した年度に、周囲の司法書士たち(当時私が補助者として勤務していた司法書士法人)が、受験生時代、合格ゾーン問題集をやっていたという話をしていたため、それに感化されて合格ゾーン問題集を購入しましたが、まったく回し切れませんでした。もし出版がされているようなら、セレクト問題集のようなものを何度も繰り返す方が力になるのかもしれませんね。

分量や網羅性を落とすのが怖くなる気持ちはわかりますし、私もそうでした。もし長期受験で苦しんでいるようでしたら、思い切って情報量を減らす戦略を取るという選択肢を取ってみてもいいのかもしれません。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。