遺産分割協議と遺留分侵害額請求

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

先日の無料相談の中でこんな話題になりました。

相談事例

相続人A,B,C(ともに被相続人の実子)が遺産分割協議をしたとする。遺産は土地一筆のみ。どのように土地を分けようかと話し合いをしたところ、A,BがCに対して、「我々は遠方に住んでいて土地を使うこともないので、Cが単独で土地を所有してはどうか?」というふうに言われた。しかしCが単独で土地を取得した場合、A、Bは何も得る財産がないが、その後に遺留分侵害額請求をされるのではないか?

遺留分(いりゅうぶん)とは

簡単に言うと、相続人の意思に基づかずに、遺産を得ることができなかった、または極端に少なかった場合に請求することができる相続分の最低保証額です。

例えば、被相続人がある相続人に対して遺言書で「すべての財産を相続人Aに相続させる」といった内容の遺言を遺していたとします。そうすると、A以外の相続人からしてみれば、自分の手元には何も入ってきません。このように自分の意思に基づかずに法定相続分を届かない場合は、遺留分をAに請求することができます。

相続人の立場により異なりますが、遺留分は法定相続分の1/2~1/3を乗じた額です。なお相続人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪の場合には遺留分はありませんので、遺留分侵害額請求はできません。

今回のケース

前述した通り、相続人の意思に基づかずに、遺産を得ることができなかった、または極端に少なかった場合に請求することができる相続分の最低保証額です。

遺産分割協議は協議をした上で署名捺印をしております。自分の意思に基づいていますので、この場合は遺留分は認められません。つまり、遺留分侵害額請求が認められるのは、遺贈や生前贈与、死因贈与等の相続人の意思が介在する余地のない行為に対してのみであり、意思の介在する遺産分割協議では認められないことになります。

したがって今回のケースにおいて、A、BはCに対して遺産分割協議後に遺留分侵害額請求はできないことになるという結論です。

補足

旧民法では「遺留分減殺(いりゅうぶんげんさい)請求」という名前で、基本的には侵害された相続分を現物で返すというものでした。遺言で土地を相続人ではない第三者に遺贈していて、相続人が遺留分減殺請求をすると、その第三者と土地を共有することになってしまい非常に使いづらい制度であることから、令和1年(2019年)7月1日に改正され、それ以降の相続に関しては、相続人が金銭を請求できる制度になりました。

ただし、令和1年(2019年)7月1日以降に発生した相続に関してはそうなのですが、それ以前(令和1年(2019年)6月30日まで)に発生した相続に関しては遺留分減殺請求が適用されますので注意が必要です。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。