遺言公正証書作成の流れ

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

先日「遺言公正証書の作成をお勧めします」という内容の記事を執筆したのですが、費用がかかるだけでなく、公証役場に行ったことがないので何となく不安という方も多いと思います。

そのため、本記事では司法書士にご依頼いただいた場合の手続の流れを解説いたします。

遺言の内容を決める

メモ書きでも良いので、遺言の内容を定めます。具体的には自分の死後、財産をどのように配分するかということを決めておきます。

自動車、預貯金は長男、不動産は長女に相続させるというように定めたり、それ以外で遺言書に記載のない財産は遺産分割協議によって定めるというように決めていきます。

司法書士に連絡

遺言内容が定まりましたら司法書士へご連絡いただき、公正証書にて遺言を遺したい旨を伝えます。その後司法書士事務所やご自宅、またはその他の場所において面談の上、遺言の内容を司法書士へ伝えます。そうすることで司法書士から、内容の適法性を判断し、適切な遺言の記載方法のアドバイスがなされます。

自筆証書遺言の場合ですとこの判断が難しく、作成しても無効な遺言書の可能性もあることも遺言公正証書の作成をお勧めする理由の一つです。

遺言書の文案を確認

司法書士と公証人が遺言内容のやり取りを行い文案を作成します。完成した文案を遺言者に提示しますので、その内容を確認の上、修正したい箇所があればそれを司法書士に伝えます。問題なければその旨を伝えます。その後、遺言書の作成の日程を定めることになります。

なお、遺言公正証書を作成する際、証人2人が立ち会うこととなります。もし証人になって欲しい人がいる場合は司法書士に伝えていただき、特にいない場合は基本的に司法書士とその事務所の事務員が証人になることが多いです。

当日

公証役場に集合し、司法書士と合流します。予約の時間になりましたら個室に通されます。

小さな公証役場の場合、個室がなく、衝立のある公証人のデスクの前に3人(遺言者、証人2人)が座って遺言書を作成することもあります。そういったこともあり、プライバシーの観点から、当事務所では公証人が複数名在籍している、地域で一番大きな公証役場での作成をしています。

遺言者の方は身分証明書と印鑑を持参します。(身分証明書が運転免許証の場合、印鑑は認印で良いそうですが、事前に司法書士を通じて確認が必要です)

公証人から遺言者に対して、簡単な本人確認(氏名・生年月日・住所・職業)と、遺言内容の大まかな内容の確認を行った後、遺言内容を口授(くじゅ・口頭で伝えること)します。その内容は遺言書文案と同じですが、内容を聞いた後で間違いがなければ遺言書の文末に自筆の署名と押印を行います。ここで遺言書作成は終わりです。

その他

遺言書の作成が終わると、その場で公証人が個人情報の取り扱いや遺言書の取り扱いについて説明し、遺言書の正本、謄本各一通が渡されます。なお原本は公証役場で保管されます。

正本は、原本と法的に同じ効力を持ちます。謄本も基本的には正本と同じですが、「控え」と説明するのが分かり易いでしょう。相続手続の際に基本的にはどちらでも使用することができますが、金融機関によっては正本でなければならないという場合もあるようですので、遺言執行者の方は正本を保管するのが良いと考えます。

注意点として、遺言者の方は遺言書を貸金庫で保管しないようくれぐれもご注意ください。遺言者の死後、これを開く手続が難しくなります。


以上が遺言公正証書の作成の流れです。お読みいただき、公正証書遺言の作成されることをお考えの場合はぜひご相談ください。

当事務所で遺言書作成業務の際に参考としている書籍をご紹介いたします。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。