「全ての物件を遺贈する」内容の遺言書

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

GWも今日明日を残すのみとなりました。前半戦は風邪でダウンしていたのですが、後半戦は溜まった仕事をこなしております。

本日は遺言書に関する備忘録的な記事になります。自筆証書遺言を遺す場合、日付・全文・氏名・押印を揃える必要があります。↓以下条文


(自筆証書遺言)

  1. 第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第978条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
  3. 3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

遺言書とは、遺言者の財産処分に関する指示書であるため、財産目録を作成する必要があります。しかし、中には財産目録を作成せず、表題のように「全ての物件を何某(相続人ではない)に遺贈する」と書かれていることがあります。

相続登記をする際に遺言書を添付して申請することがあるのですが、遺言書の内容から不動産を特定することができなければなりません。そこで、上記の記載による遺言書が登記申請に耐えうるのか事前に照会をかけてみましたところ、申請予定の法務局からは「物件全てと書かれているのでOKです」と回答がありました。その際に遺言者の全ての所有物件を明らかにする必要はないとのこと。つまり、名寄台帳などは不要ということでした。法務局ごとに取り扱いが異なる可能性がありますので、同様のケースがあった場合は、事前に確認することをお勧めいたします。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。