みなし解散がされた会社を閉じる
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
みなし解散の登記がなされた会社からの問合せが増えてきおりますので、本記事ではその後の清算結了登記に関して解説します。
みなし解散とは
株式会社は12年間、一般社団法人や一般財団法人は5年間、なんの登記もしていない場合に、毎年10月頃に法務大臣による官報公告の上、当該会社に対して法務局から会社は「閉鎖してませんか?」という趣旨の通知が送られます。この通知に対して「事業は廃止していない」旨の届出をしなければ、会社が解散したものとみなされ、12月頃に法務局の職権による解散登記が入ります。
法務局パンフレット一部抜粋
取るべき方法
営業活動をしている会社であれば「会社継続登記」をすることで、みなし解散から3年以内であれば元の状態に復帰させることができます。その方法については以前のブログにてご紹介しましたので本記事では割愛します。
実際に営業活動を行っていない会社について、取るべき方法は「会社の清算」が妥当と思われます。
会社の清算とは
会社の債権を取り立て、債務を返済し、残った財産を株主に分配して会社を閉鎖することです。そうすることで会社の清算結了登記をすることができるようになり、会社の法人格は消滅します。
法人格が消滅することによって、会社は法律行為ができなくなるため、契約ごとがその後できなくなります。※会社の解散登記がされたのみの状態なら各種契約は法的に可能です。
手続の流れ
ここでは株式会社の例で解説いたします。
解散登記は既になされている状態ですので、まず【清算人及び代表清算人の就任登記】を行います。定款や株主総会などで清算人を定めていないのであれば、解散時点の取締役がそのままスライドして清算人になります。しかし、役員変更の登記もしておりませんので取締役がすでに死亡していたという可能性もありますので、その点は確認が必要です。細かな論点は省略しますが、原則的には取締役の変更の登記が前提として必要です。
次に【官報による解散公告】を行います。解散する会社に対して、会社が把握していない債権者がいることもあります。そのような債権者に対して「債権を有している」旨を申し出るように一般に周知するために官報に公告をします。公告を掲出した翌日から起算して2カ月間が満了するまでは次の清算結了登記ができません。この2カ月の間に会社では清算手続を行うことになります。
清算手続きですが、清算人は以下①~④を行い、「清算事務及び決算報告書」を作成します。
①現務の結了(取引先や従業員との契約の解消等)
②債権の回収(売掛金などの債権回収等)、債務の弁済(借入金などの返済)
③残余財産の分配(上記①②の後、残った財産を株主に分配すること)
④上記の内容を承認する株主総会を開催し、清算内容を承認する内容の株主総会議事録を作成します。
そして、解散公告開始から2カ月間が経過すると【清算結了登記申請】をすることが可能になります。
まとめ
みなし解散がなされ、会社を閉鎖する場合のおおまかな流れは
①清算人及び代表清算人の登記
②官報への解散公告
③清算人による清算手続き
④清算結了登記
以上が登記実務観点の大まかな流れです。税務に関しては別の手続が必要になりますので、詳細については税理士にご相談いただくことをお勧めいたします。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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