エンディングノートとは?

数年前からよく聞くようになった「終活」という言葉。

そしてそれとともに「エンディングノート」という言葉もよく聞くようになっていたものの、あまり詳細に掘り下げたことがなかったため、様々な記事を読んで勉強しました。

こちらから法務省/日本司法書士会連合会が用意しているエンディングノートのPDFをダウンロードすることができます。ご興味のある方はダウンロードしてみてください。

おそらく、エンディングノートに関して最も多い疑問は、「遺言書と何が違うの?」というところではないでしょうか。

一般的な遺言書には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、今回は自筆証書遺言と比較して記載をしていきます。

法的効力に関する比較ですが、

自筆証書遺言 → 法的効力あり

エンディングノート → 法的効力なし

自筆証書遺言をはじめとする遺言については法的効力が認められています。自筆証書遺言については、①日付②全文③署名を自書し、これに押印をしなければならないと書かれております。(民法第968条:自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。)②の全文の部分には遺言作成者の財産処分の方法が通常記載されております。「A不動産は相続人甲に相続させる」というような内容です。

それに対してエンディングノートには法的効力というものもないため、特に様式というものはなく、自分史のようなものであったり、把握している財産を書き記すタイプのようなものなど、様々なタイプのものが市販されているようです。

ところで法務省/日本司法書士会連合会が発行しているエンディングノートの構成は以下の通りです。

1.わたし自身のこと(名前/生年月日/血液型/住所/本籍/電話番号/メールアドレス/宗教/菩提寺など/その他)

  もしもの時の連絡先

  家系図

2.わたしの財産について(所有不動産/貸し借りしている不動産)それぞれの詳細について

  その他の資産について(預貯金/借入金/生命保険/有価証券・株式/その他・自動車・貴金属等)

  デジタルデータについて

3.ご自身の相続をスムーズに進めるために

  遺言書の作成有無

  これから介護が必要になった場合について

  病気・入院したとき、延命治療・終末医療と尊厳死について

4.わたしの亡き後

  葬儀のこと(葬儀の実施/規模/費用/連絡してほしい人/その他)

  お墓について(埋葬方法/費用/お墓のデザイン、墓碑銘等)

  お世話になった人へ伝えたい言葉や感謝の気持ち

  自分のエピソードや、懐かしい思い出、忘れられない記憶など、心に残っていること

以上です。

必ずこのようにしなければならないというわけではありませんが、遺言書と別の趣旨で書く以上は、法務省/日本司法書士会連合会の作成した様式の内容は、遺された人にとってその後の事務手続きの負担を非常に軽くするものだと感じます。

また、司法書士としてもエンディングノートがあった場合、スムーズに手続を進めていくことができますので、見積りで拾えなかった余分な実費負担がなくなります。

さらに、上記の様式ですと質問に対して回答する形でのエンディングノートですので、それほど記入を進めるのに悩むこともないと思われます。

遺言はちょっと重たいと躊躇されることもあろうかと思いますが、エンディングノートであれば幾分か気軽に書くことが可能ですので、一度書いてみることをお勧めいたします。

ご記入についてご質問等ありましたらお気軽にご連絡ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。