会社の商号変更をするにはどうすればよい?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

きっかけは様々ですが、事業内容を変更したり株主が代わった際などに会社の商号を変更することもあるかと思います。そこで本記事において、商号変更の方法を解説します。

会社内での決議

まずは株主総会での決議が必要になります。定款の変更を伴う重大な決め事ですので、株主に無断で取締役の一存で決定することはできません。株主1人でその人が取締役1人の会社であっても株主総会において決議する必要があります。実際は取締役の一存ですが、株主総会を開催してする必要があります。書面決議でも構いません(書面決議については別記事を執筆します)


(株主総会の決議)

第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。


定款変更を伴う重要な決議ですので、特別決議が必要になります(会社法309条2項)。上記の下段の条文がそれに該当します。

定款の変更

商号は定款の絶対的記載事項ですので、必ず商号は表記されています。第1条あたりに記載されているはずです。これを直接訂正ないし新たにデータファイルを作成するなどすればそれで構いません。なお、定款を書き換えたとしても再度公証人役場での定款認証は不要です。

必要書類

登記申請をする場合の必要書類は以下です。

1.登記申請書

2.株主総会議事録

3.株主リスト

4.委任状(司法書士に登記申請を依頼する場合のみ)

その他問題点

上記にて登記申請をすることで新たな商号へと登記簿が書き換わります。しかし、そこで新たな問題が浮き出てきます。

例えば今回「甲株式会社」→「乙株式会社」への商号変更だったとします。そうすると、現時点で代表取締役が手にしている会社届出印は「甲株式会社代表取締役印」のような印章になっているはずですので、感覚として少し気持ちが悪いと思いますがこれは問題ありません。

しかし、印鑑(改印)届書を提出し、「乙株式会社代表取締役印」に変更する場合は、代表取締役の印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)を用意することとなります。そして、司法書士に登記申請を依頼する際の委任状には会社届出印を押印する必要がありますが、これは「乙株式会社」のもので構いません。商号変更と同時に印鑑届書も提出する場合はそれで構いませんが、時間差で後から印鑑届書を提出する場合は「甲株式会社」の届出印を登記委任状に押印しておくべきでしょう。


また代替わりをきっかけとして商号変更をする場合、役員変更登記や代表取締役の氏名抹消登記(特例有限会社のみ)なども付随して発生するかもしれません。一度で済ませることができる登記を二度に分けるとその分登録免許税の負担も大きくなります。それを防ぐためにも、ご不安であればぜひ司法書士までご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。