公正証書遺言があったときの相続登記
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
相続登記実務を行う際、遺産分割協議による登記の比率が大多数です。不動産が共有になる法定相続や、タイトルにある公正証書遺言は比率がかなり落ちます。
今回、公正証書遺言にフォーカスして解説いたします。
公正証書遺言とは?
まず、「公正証書」から解説を加えます。
前提として、例えば住民票や戸籍、印鑑証明書などの公文書(市町村役場で作成している類の書類)については市町村役場において、その地方公共団体などの長の公印を用いて作成されているため、高い信用性が担保されております。
公文書と比較すると、個人が作成した私文書(例:金銭消費貸借契約書、売買契約書等)については信頼性において劣ります。自ら作成した遺言(自筆証書遺言)も同様です。ところが、公証人が当事者の嘱託により作成した文書には、公正の効力が生じます。
したがって、遺言書を公正証書で作成した場合は、被相続人本人が自らの意思で作成したと推定され、原本も公証人役場で保管されているため、自筆証書遺言に比べて偽造である可能性は極めて低いものとなります。
一般的な遺言方法としては、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。費用はかかるものの公正証書遺言が一番お勧めです。
作成方法は?
詳細な作成方法については別記事に譲りますが、公証人1人と証人2人の立会いの下、公証人が遺言の内容を読み聞かせたうえで作成します。
原本は公証人役場に保管されますので、遺言者が亡くなったあと公正証書遺言が保管されているか照会をすることもできます。
公正証書遺言による相続登記の必要書類は?
様々なパターンがありますが、相続人の1人に相続させるパターンの書類を記載します。
【遺言者に関する書類】
①遺言書(公正証書遺言は、家庭裁判所による検認手続不要です)
②被相続人の戸籍謄本(死亡の事実が記載されている戸籍のみで結構です。出生から死亡までの戸籍を揃える必要がありません)
③被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
【相続人に関する書類】
④戸籍謄本(不動産を取得する相続人のもののみで結構です)
⑤住民票(本籍地入りのもの。マイナンバーは不要)
⑥固定資産評価証明書や固定資産課税通知書など、不動産の評価額が分かる最新年度のもの
公正証書遺言をする場合、公証人への費用の支払いが発生し、公証人役場へ出向く必要があるなど敷居が高い印象がありますが、亡くなった後のことを考えると、相続人の方々の事務作業量が軽減されますので、選択肢の一つとして検討されることをお勧めいたします。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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