合同会社の設立方法

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

株式会社の設立方法に関する記事に引き続き、合同会社設立方法について記事を作成しました。融資を受ける必要がある場合など、信用面については株式会社の方が有利ですが、合同会社には、定款認証が不要であったり、登録免許税が最低6万円から(株式会社は15万円)と、コストの面で有利な部分もあります。

大まかな流れ

   ※法務省サイトより

チャートで表すと上記のイメージになります。このイメージに沿って以下解説を加えていきます。

定款の作成

ここは株式会社と同様に、定款を作成する必要があります。紙で定款を作成した場合は、4万円の収入印紙を貼付しておく必要があり、電子定款を作成した場合はこの収入印紙の貼付は不要なことは株式会社と同じです。大きく異なるのは、公証人役場で定款認証をする必要がありません。したがって、ここで3-5万円の費用を支払う必要がなくなるため、株式会社に比べるとかなりコストダウンが可能です。

出資の履行

社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(会社法第578条)。ポイントは会社の成立前に全額払い込みまたは給付をしなければならないところでしょう。

株式会社はこの後に機関の設置がありますが、持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)については、株式会社と異なり所有と経営が分かれておらず、所有者=経営者の関係に立ちます。したがって機関の取り決めは不要です。

設立の登記申請

本店所在地を管轄する法務局の商業登記部門に申請します。札幌の会社であれば札幌法務局です。

社員1人の合同会社の必要書類は概ね以下の通りです。

①定款

②払込があったことを証する書面

③業務執行社員決定書

④印鑑届書

⑤印鑑カード交付申請書

⑥登録免許税(資本金×0.7%で6万円に満たないときは6万円)

社員の人数や代表社員の決定方法により書類の有無が異なります。また、株式会社と異なり、合同会社については登記申請書類としての本人確認書類は不要とされているため、住民票や身分証のコピーなどは添付しません。ただし、印鑑届書にて会社届出印の登録をする場合においては印鑑証明書が必要となります。

設立の費用については、登録免許税の最低6万円からで、紙で定款を作成した場合は4万円の印紙税がかかりますので、合計10万円になります。

株式会社の場合は19万円~23万円でしたので、かなりコストカットできますね。

しかし、重大な注意点があります。複数人で合同会社を立ち上げようとした場合に、公証人役場を通さず、登記申請の場面でも、本人確認を求められる場面がありません。代表社員で会社届出印を押印する場合は印鑑証明書を出しますが、こちらは本人確認というよりは印影の商号のために提出する意味です。そのため、会社を一緒に立ち上げる社員が、本当にその人物なのか、運転免許証などの身分証明書を自分たちで確認しておくようにしてください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。