役員登記の際の本人確認書類について

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

株式会社において新たに役員が就任する際に必要な本人確認書類について解説します。まず、根拠となる商業登記規則61条7項を記載します。


商業登記規則 第61条 

7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下こ の項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。


株式会社の役員とは誰を指す?

会社法上、取締役・監査役・会計参与・執行役が役員です。執行役については指名委員会等設置会社のみに設置されますが、2021年8月現在、指名委員会等設置会社導入企業は85社程度ですので、いわゆる中小企業ではほとんどありません。会計監査人については会社法上の役員ではありません。また、「執行役員」というポストを設定している株式会社もあり、会社独自に役員と呼ぶ場合もあるかもしれませんが、執行役員の方が取締役や監査役、執行役等でない場合、法律上は役員ではなく登記上も公示されません。

本人確認書類が必要な役員は?

①取締役

②監査役

③執行役

以上です。

平成27年までは本人確認が行われていなかった役員等は、実在しない者であっても登記が通ってしまいました。そしてそれが悪用されることもあったため、法改正により本人確認証明書が求められるようになったという経緯があります。なお、同じく役員である会計参与に関しては公認会計士、税理士、監査法人、税理士法人でなければ就任することができず、就任登記の際に資格証明書を求められ、それにより実在性は担保されてますので別途本人確認書類は不要です。

本人確認書類は初めて就任する際に必要となりますが再任の場合は不要です。

本人確認書類は具体的にどのようなものか

①住民票の写し②戸籍の附票③運転免許証のコピー④(外国人の場合)在留カードのコピー

③④は表裏コピーし役員本人が「原本と相違ない」と記載し、記名押印または署名する必要があります。

なお、上記の例示には記載されておりませんが、印鑑証明書も本人確認書類として提出可能です。


上記記事の内容と関連しますが、役員の任期を10年している株式会社が多いため、再任の登記をうっかり忘れてしまい、みなし解散登記がなされてしまう場合があります。一度、自社の登記簿を取得し、任期を確認されることをお勧めいたします。役員登記についてご不明点ありましたら当事務所までぜひご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。