所有不動産が課税明細書に載っていない?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

いよいよ新年度が始まり、今日から相続登記が義務化されます。最近は相続登記に関する問合せも増えてきたため、一般にも周知が広まってきているという印象です。

不動産の登記申請をする場合、申請と同時に登録免許税を納める必要があります。この登録免許税を計算するモトとなる数字が不動産の評価額です。不動産の評価額は基本的に固定資産納税通知書に記載されておりますので、戸建てやマンションなどの居宅や収益用の賃貸物件についてはここに記載されてきます。

ところが一定の評価額を下回る不動産に関しては固定資産税が課税されず、(課税明細書に記載する必要がないため)非課税の不動産は課税明細書に記載されません。そのため、相続登記を行う際に、被相続人が保有している不動産を把握しきれないという問題が発生します。古くに所有権を取得した山林や原野などは評価額が低いため、課税明細書に記載されていないケースが多く、権利証がなければ地番を把握することもできません。

そういった場合、名寄帳を取得することで、被相続人がその自治体に保有している不動産の一覧を把握することができ、評価額も記載されますので、名寄帳取得をお勧めします。ただし、「被相続人がどこかに不動産を持っていたような気がする」という場合はどこに名寄帳を請求するかも分かりませんし、そもそも相続人は、被相続人が不動産を持っていたかどうかを把握していないことも多くあります。現時点ではこの問題に対応できる制度がありませんが、今後「所有不動産記録証明制度」という新たな制度が運用されることによって、いくつかの問題が解消できるようです。ただし現時点で指摘されている問題点はあるようですので、これに関しては別に記事を作成します。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。