未登記の附属建物の評価額を登録免許税の計算に含めるか

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

先日、このようなケースがありました。建物の所有権移転登記のご依頼を受け、資料を拝見したところ建物は一棟。念のため土地からの建物検索をしても建物は一棟でしたが、評価証明書を取得したところ附属建物がありました。床面積的に物置等だと推定できたのですが、この附属建物にもわずかですが評価額がありました。この評価額を登録免許税の算定の際に含めるかで迷いました。

ちなみに民法には以下の条文があります。


第87条【主物及び従物】

① 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

② 従物は、主物の処分に従う。


例えばキャップ付きの万年筆を買ったとすると、主物は万年筆でキャップは従物の関係です。万年筆を買えばキャップも当然ついてきます。上記の条文の②はその話をしています。

ここで話を戻しますと、未登記の附属建物は従物の扱いになりますので、主たる建物の所有権が他者に移ると附属建物の所有権も一緒に他者へと移ります。そしてその所有権移転登記をする際に払うべき登録免許税に附属建物の評価額を含めてもいいのだろうかというのが本記事の論点です。

色々調べたところ、「含めるべき」「含めない」と結論が分かれてしまいました。そのため、登記申請予定の法務局へ照会をかけました。

結論としては、「含めない」とのことでした。「未登記の建物についても、あくまで固定資産の評価として評価証明に記載はされているが、登記免許税計算の課税価格に含める必要はない」という理由だそうです。

勉強になりました。


登記申請をする際に登録免許税の算出について疑問を持たれる方は多いです。司法書士へ相談することもご検討ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。