株主総会による代表取締役の選定

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

取締役会非設置の株式会社では各自代表が原則ではありますが、代表取締役を選定する場合、以前の記事でお伝えしたように、

①定款で直接定める

②株主総会で選定

③定款の定めによる互選で選定

上記の3パターンが法定されています。しかし、①定款で直接定めるケースは、代表取締役を変更するだけで株主総会特別決議をした上で定款を変更し、新たな代表取締役を選定しなくてはならず、手続としては迂遠ですので、取り入れている株式会社は少数だと思います。

今回、株主総会で代表取締役を選定するケースで議事録を作成しましたので、備忘録的に記事を掲載します。ケースとしては丙野三郎が1人で取締役兼代表取締役を務める株式会社において、4月1日に新取締役(甲野太郎、乙野次郎)の2人を選任し、そのうちの甲野太郎を代表取締役に選定し、丙野三郎は3月31日付で代表取締役を辞任(平取締役として残る)したという内容です。

問題点としては3月31日に代表取締役を辞任するとしているが、その時点で新取締役がいないので、議事録をどのように記載するのかという部分です。



まず、代表取締役を株主総会で定めている会社では、代表取締役は辞任届を提出するのみでその地位を辞任することはできず、株主総会において代表取締役の地位のみの辞任について承認決議を得る必要があります。

上記の会社の株主総会の順序としては、

①新取締役を選任。4月1日付で就任させたいので就任承諾書の日付を4月1日とします。

②代表取締役を選定。4月1日に就任する甲野太郎を選任することはできません。まだ取締役でない人を代表取締役に選定することはできないのです。そこで、甲野太郎が取締役に就任することを「条件」として代表取締役に選定することとしました。

③代表取締役の地位のみ辞任することに株主総会で承認を得るために必要な決議となります。ちなみに、丙野三郎が代表取締役だけでなく取締役も一緒に退任する場合は、この承認決議は不要になります。

代表取締役の選定方法については複雑な判断になることもあるため、迷ったときはぜひご相談ください。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。