株式会社の設立方法

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

個人事業主として仕事をされていて、業績が伸びてくると法人化を考える方もいらっしゃると思います。書類を揃えて法務局に提出することで設立することができる会社形態は、

①株式会社

②合名会社

③合資会社

④合同会社

以上の4つです。他にも一般社団法人や、一般財団法人、その他の特殊法人など様々ありますが、それらは別記事にて解説します。なお、有限会社も新たに設立することはできません。

②③の設立もほとんど無いといっていいでしょう。そうなると、実務上、株式会社か合同会社の設立がほとんどを占めることになります。

今回は、その中でも一番多い株式会社の設立の方法について解説します。

大まかな流れ

※法務省サイトより

チャートで表すと上記のイメージになります。このイメージに沿って以下解説を加えていきます。

定款の作成

定款(ていかん)とは、その会社におけるルールブックです。記載する内容は会社法により法定されており(会社の目的・商号・本店等の必ず記載しなければならない事項があったりするなど)、それに則って発起人は定款を作成する必要があります。

定款を作成したら、本店所在地の区域内にある公証人役場にて定款の認証をする必要があります。認証前、公証人に定款の事前確認をしてもらうことになりますが、定款の記載内容について指摘をされることがあります。また、定款を紙で作成した場合は印紙税がかかるため4万円分の収入印紙を貼る必要がありますが、電子データで定款を作成した場合は印紙代はかかりません。公証人に対して手数料を支払う必要があります。資本金の額等が100万円未満は「3万円」、資本金の額等が100万円以上300万円未満は「4万円」、資本金の額が300万円以上なら「5万円」です。

このタイミングで会社届出印(代表取締役印)を作成しておくと後の手続がスムーズになります。

出資の履行

定款を作成したら、出資の履行をする必要があります。定款作成の際「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」が必ず定められており、また、発起人は株式を1株以上引き受けなければなりません。

現物出資(金銭以外の動産、不動産、有価証券を出資財産とすること)も可能ですが、金銭出資が多いためそのケースで解説を進めます。例えば出資金が100万円だった場合、一度発起人の個人口座から100万円を出金し、再度入金します。これにより、出資金として入金されたことが法務局で判断できます。なお、発起人が複数いる場合ですが、代表発起人の個人口座へ出資金を振込みます。この際、「払込があったことを証する書面」には[①通帳の表紙②通帳の見開きページ③入金があったことがわかるページ]を合綴します。

機関の設置

機関とは役員や取締役会、監査役会などのことです。これらをどのように構成するかを決定する必要があります。1人会社であれば発起人が設立時取締役を自分に決定し、そのまま設立時代表取締役になります。

設立時代表取締役の選定方法ですが、複数の設立時取締役を置く場合、取締役会設置会社なら設立時取締役の過半数(会社法47条1項)、取締役会非設置会社なら発起人の過半数(※条文がないため解釈による)で定めます。ただし、これが全てではなく定款に直接定めるなどの方法もあります。

設立の登記申請

申請書を作成し、必要書類を揃えたら法務局に申請します。管轄の法務局ですが、札幌市内の会社であれば札幌法務局のみです。不動産登記と異なり出張所では受付けられませんのでご注意ください。登記申請をした日が会社成立の日になります。

発起人1人、取締役(代表取締役)1人、金銭出資の最もスタンダードなケースの必要書類ですが、

①発起人決定書

②払込みを証する書面※預金通帳の写しを合綴   

③取締役の就任承諾書※取締役の個人実印を押印

④印鑑届書※会社実印及び個人実印を押印      

⑤印鑑カード交付申請書※会社実印を押印

⑥個人の印鑑証明書※発行後3か月以内のもの

⑦定款

⑧登録免許税(資本金×0.7%で15万円に満たないときは15万円)


本人確認書類として、住民票の写しであったり身分証明書のコピーを提出する場合もありますが、印鑑証明書を添付することで省略できます。なお、会社届出印の登録は任意になりましたが、法務局以外の手続においてはまだ必要なことがほとんどでしょうから、登録しておくことをお勧めします。会社届出印の登録をしない場合は④⑤は不要です。

例えば資本金100万円の株式会社設立を自分でやる場合、(紙定款の収入印紙4万円)+(公証人手数料4万円)+(登録免許税15万円)※資本金100万×0.7%=7000円で15万円に満たないため

最低でも合計で23万円かかります。これらに手間をかける時間を専門家に依頼することで、本来すべき営業活動に時間をかけることができますので、一度司法書士への依頼もぜひご検討ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。