特例有限会社から株式会社への移行

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

現在、特例有限会社(いわゆる「有限会社」)を新たに設立することはできません。有限会社の経営を行いたい場合は、有限会社の株式を取得し、その定款の大規模な変更をする必要があります。会社の事業目的、本店、商号の変更などを行うことも可能です。

そして、有限会社についても株式会社へと移行することが可能です。

商号変更による株式会社への移行のための決議は?

その場合、「商号変更による株式会社への移行」の登記を行う必要があります。大規模な変更ですので、株主総会特別決議により変更を行います。なおかつ、登記が効力発生要件ですので、定款決議を行ったとしてもそれだけでは株式会社になりません。

※移行前後の役員については複雑なため、本記事では割愛します。

どんな登記申請をすればいいのか?

本店所在地を管轄する法務局へ申請を行う必要がありますが、このとき「①商号変更による設立の登記」「②商号変更による解散の登記」の2つを同時に申請することになります。

つまり、「商号変更による設立」「解散」の申請書をそれぞれ作成し、同時に提出する必要があるということです。

費用はどれくらいかかる?

まず、自分で登記申請をする場合にもかかる登録免許税ですが、資本金を増加する場合やや複雑な計算になります。資本金の変更がなければ資本金額の0.15%で、算出して額が3万円を下回るようでしたら3万円が登録免許税になります。例えば資本金1000万円の会社なら、その0.15%は1万5000円で、3万円を下回るので登録免許税は3万円です。基本的には3万円のケースが多いでしょう。

②の解散の登記の場合は3万円なので、株式会社へ移行する場合は最低6万円の登録免許税が必要になります。

登記の際の必要書類は?

①定款

株式会社に移行するにあたり定款を書き換える必要がありますので、これを提出する必要があります。設立の登記ではありますが、公証人による定款認証は不要です。

②株主総会議事録

商号変更を行い定款変更を行いますので、それを証明する株主総会議事録が必要です。なお、有限会社の特別決議要件ですが、「総株主の半数以上でかつ、総株主の議決権の4分の3以上の賛成(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第14条3項)。」です。これは株式会社の特別決議の要件とは異なり、また、株式会社よりも重い要件ですので注意が必要です。

③株主リスト

株主の氏名住所、議決権割合などが記載された用紙です。こちらも必要になります。

※役員を同時に変更するときはまた別の書類が必要になりますが、本記事では割愛します。

また、解散の登記の際には添付書類はありません。司法書士に登記申請代理委任をしたとしても、委任状も不要です。

必要書類は以上となります。


なお、商号変更による移行の登記の際についでにできる登記(資本金の変更、役員の変更等)やできない登記などもありますので、この点も判断が難しいでしょう。

有限会社から株式会社への移行の登記については大規模な登記ですので、検討されている場合はぜひ司法書士までご相談ください。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。