登記されている住所と被相続人の最後の住所が繋がらない

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

久しぶりの更新になります。

相続登記を申請する際に、「住民票の除票」または「戸籍附票」を法務局へ提出することになります。その理由は、所有権登記名義人(登記されている不動産の所有者)と被相続人が同一人物であることを確認するためです。上記書類には被相続人の住所が記載されているため、この住所と登記上の住所が同じであれば所有権登記名義人と被相続人が同一人物であると判断され、手続が進められます。

そのため、登記上の住所と最後の住所が一致していない場合、これを繋げる必要があります。住民票除票には「前住所」が記載されていることが多いので、住所移転が1回であれば住民票除票で足りる可能性が高いです。しかし、登記上住所から最後の住所に至るまでに何度も住所移転をしている場合は、戸籍の附票を取得する方が良いでしょう。戸籍の附票は、被相続人の本籍地で発行している戸籍とともに作成されている書面で、その自治体に本籍を置いている間の住所の変遷を証明してくれる書類です。

戸籍の附票を取得することで所有権登記名義人と被相続人の同一性を証明できるケースが多いですが、本籍地を移している場合に、戸籍の附票が廃棄されていることもあります。以下に、戸籍の附票の取得のみでは住所の繋がりを証明できないケースについてお伝えします。

登記済証

現行の制度は登記識別情報という書類に統一されていますが、これ自体が平成17年以降に始まった制度で、登記識別情報が発行されている場合に住所が繋がらないということは多くはないです。大体のケースでは登記済証、いわゆる権利証で代用することが多く、権利証を持っていたのなら被相続人本人で間違いないでしょうという考えのようです。

登記済証を提出する場合、戸籍附票・改製原附票・除附票・廃棄済証明など住所の変遷の証明書を遡ってかき集めて、それでも登記上の住所に繋がらない場合に、集めた書類と併せて登記済証を相続登記申請の際に提出します。ちなみに戸籍附票を請求する際は「本籍地」「筆頭者」の記載を入れてもらうようにしてください。

その他の方法

登記済証が無い場合です。

まずは、上述した書類(戸籍附票・改製原附票・除附票・廃棄済証明など)を集めます。その上で、固定資産税評価証明書及び「不在住証明」「不在籍証明」を併せて提出することで代用できるケースが多いようです。当初、固定資産税評価証明書の代わりに固定資産税納税通知書の原本を添付して提出しようとしましたが、固定資産税納税通知書の原本を提出することが困難だったため、評価証明書を提出したところ無事に登記が完了しました。

「不在住証明」「不在籍証明」については、請求する際に登記上の住所を記載して取得します。その住所に本籍地や住所をおいている何某という人はいませんよという証明です。


なお、それでも書類が足りないということは考えにくく、その場合は上申書を提出するなどの対応を検討することになってくると思いますが、権利証がない場合には、法務局に相談してみる方が良いかもしれません。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。