登記情報が取れない

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

とある株式会社の事業目的変更の登記申請を依頼された場合、定款を確認するのですが、提示される定款が古い場合に、現在登記されている情報と異なっていることが結構あります。そこで法務局に行って登記簿を取得することはなく、インターネットの「登記情報提供サービス」というサイトから登記簿に記載されたデータを取得します。1通331円です(2024/10/20現在)。ところが、登記申請を依頼された会社がすでに何らかの登記申請を行っている場合ロックがかかり、【登記手続中】という表示がなされ登記情報を取得することができません。この場合、登記が完了するまで待たなくてはなりません。

会社であればシンプルで、登記が完了するまで待てばいいのですが、不動産登記の場合で厄介なのは大規模なマンションかつ敷地権の登記がされていないパターンです。

敷地権とは

マンションなどの共同住宅の場合、当然ですが敷地があります。この敷地はマンションの各部屋の所有者が共有している訳です。ですが、土地の登記簿に複数の共有者が記録され、それぞれが抵当権を設定したり住所氏名を変更したりすると、あっという間にこの登記事項証明書は膨大な分量の冊子になってしまいます。

そこで、比較的新しいマンション等では、マンションの各部屋と土地の敷地部分を紐づける登記がされています。これを「敷地権化」といいます。これなら部屋の登記事項証明書を取得するのみで足ります。

問題点

敷地権化は、全ての建物でされていないということです。築年数の古いマンションなどでは敷地権化されていないことも多く、例えば所有権移転の登記申請を行う場合は部屋の登記の他、土地の共有持分についても移転登記をしなければなりません。そのため、事前に登記情報を取得することになります。

ところが、上述した「登記情報提供サービス」では、分量の大きい登記情報を取得することができないことがありますので、この場合は法務局に出向くか郵送にて登記簿謄本を取得する必要が出てきます。ちなみにそのまま登記簿を取得すると数十ページの登記事項証明書が出てくるかもしれませんので、所有者を抜き出した登記事項証明書を取得することをお勧めします。

なお、敷地権化されていない建物の土地部分について、共有者の誰かが登記申請を行っている場合にも登記事項証明書が取れないという事態も起こりえます。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。