相続不動産の調査
相続が開始した場合、死亡届の提出を始めとして様々な手続をする必要があります(人が亡くなったときにすべき手続②)。
並行して被相続人の所有していた財産の内容を調査しなければなりません。自宅などであれば分かり易く、法務局で土地建物の登記簿謄本を取得すればよいでしょう。なお、登記簿を取得する際に必要な地番や家屋番号は、住所とは異なるものです。権利証があればそれを確認することができますが、なければ法務局で調べてみるといいでしょう。不動産の管轄法務局でしたら電話でも受け付けていますし、興味があれば備付けのブルーマップから特定することも可能です。
上記の方法で自宅の土地建物は容易に調べることが可能ですが、問題はそれ以外の不動産です。把握している不動産なら問題ないでしょうが、把握していない不動産の場合は被相続人在住の市町村の固定資産税を取り扱っている部署に「名寄帳」を請求する必要があります。名寄帳には、その固定資産税課が管轄している地域の被相続人名義不動産が記載されているため、所有不動産の全容が不明な場合に便利です。不動産評価額も記載されているため、登記申請の際にそのまま使用することもできます。
問題としては、名寄帳を請求する場合、ある程度の「あたり」がついていることが必要です。居住地や判明している不動産の管轄地域などであれば分かり易いですが、全く予期しない地域に山林を所有していることもあり、そのような場合、不動産評価額が安く固定資産税納税通知も来ないので探し出すのは困難です。
今のところ名寄帳の全国版のような制度は存在しませんが、今年から相続登記が義務化されたことに伴い、所有不動産記録証明制度(令和8年2月2日施行)が始まるようです。資料を読むとこれにより被相続人が全国に所有していた不動産を登記官が一覧化したもののようです。制度の開始は少し先になるようですが、かなり期待できそうです。ただし随時更新という訳ではないため、不動産所有者の住所や苗字が変わっていたりすると、検索に表示されない可能性があるということでしたので、その辺りも改善の上で制度が開始するといいですね。
不動産登記の困難要因と実務対応-未登記不動産、所有者不明土地、相続人不存在・不明土地等
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投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。