相続人の間でさらに相続があった場合

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

タイトルの件、図で解説すると早いのでまずは以下のイラストをご覧ください。

父母と長男長女の4人家族で、父甲野太郎が亡くなりました。土地と建物は甲野太郎の名義ですが、相続登記をすることもなく10数年後、母甲野花子が亡くなりました。

相続登記が義務化されたため、長女甲野一子と長男甲野一郎との話し合いの末、不動産については実家に住んでいる長女甲野一子名義にしようということになりました。しかし、ここで二人に疑問が浮かびます。

「甲野太郎が亡くなった時点で甲野花子は存命であったが、子ども二人だけで遺産分割協議をしても問題ないのか。そもそも甲野花子はもういないため、二人だけの遺産分割協議は有効に成立するのか」という疑問です。

結論としては、問題なく成立します。ただし、遺産分割協議書にこのような文言を記載するとよいでしょう。

「被相続人 甲野太郎の遺産について、相続人甲野一子、同 甲野一郎は、分割協議を行った結果、次のとおり遺産を分割し取得することに決定した。なお、被相続人の妻である共同相続人の甲野花子が令和○年○月○日に死亡していることから、亡 甲野花子の相続分についても相続人である甲野一子、甲野一郎がその地位を承継し、協議に参加した。」

そうすることで母甲野花子が持っていた相続分(遺産分割協議する権利)がさらに甲野一子、甲野一郎に承継されたということが明記されますので、登記申請の際に直接甲野一子名義に所有権移転をすることが可能になります。ただし、このような文言を含めて遺産分割協議書を作成するのは大変ですので、専門家に丸投げしてしまうこともぜひご検討ください。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。