相続人調査はどうやってするのか?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

「相続登記をしたいのだが、相続人がどこにいるのかわからない」というお問合せをいただくことがあります。

法的なお話ですが、被相続人(亡くなった人)が不動産を所有していた場合、その人が亡くなった瞬間に、不動産の所有権は法定相続分の割合で相続人に移ります。しかし、後日遺産分割協議を行い、相続人のうちの1人(Aさん)が不動産を取得するという合意が調いますと、遡って、被相続人が亡くなった瞬間にAさんのみが不動産を取得した、という結論になります。以下条文です。


(遺産の分割の効力)

第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

出典:e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)


法定相続分により相続登記をする場合においても、遺産分割協議で合意した割合で相続登記をする場合においても、いずれにしても相続人の住所を知る必要があります。相続人は相続をする権利を持っているので、他の相続人の一存で、不動産を相続できた権利を奪われることはありません。

法定相続分により相続登記をする場合は「保存行為」として、相続人の1人から申請することができるのですが、その際でも相続人全員の住民票の写しが必要になります。また、遺産分割協議で合意した持分で相続登記をする場合においては不動産を取得する相続人の住民票のみで構わないのですが、そもそも遺産分割協議は相続人全員でしなければ無効であるため、全員の住所を把握する必要があります。

しかし、相続人とは言え、叔父伯母や甥姪が共同相続人である場合など、疎遠で住所を把握していないこともあるでしょう。そのような場合に士業に依頼をすることで「正当な理由」があれば、共同相続人の住所を調査することが可能です。興味本位で知りたいとかという理由では調査はできません。相続登記をするためという正当な理由があれば、司法書士に依頼することが可能です。

司法書士などの士業に依頼せずとも、自分で調査することも可能です。共同相続人ということであれば、遡れば祖先は同じです(養子縁組もありますので絶対ではありません)。

自分の戸籍を遡って収集し、同一の先祖の戸籍まで遡ると、ある程度のところで調べたい共同相続人の戸籍が分岐している可能性が高いです。今度はその戸籍を現在に向かって(新しい戸籍の)取得を進めていきます。

一番新しい戸籍(全部事項証明書)が取れましたら、その戸籍の附票を取得します。きちんと住民票の移動の届けを提出しているのであれば、附票には住所の変遷が記載されておりますので、それを頼りに連絡を取るようにするといいと思います。

共同相続人であっても、疎遠になっていた、または面識のない人であり、連絡の理由が相続についての話題になりますので、こじれることがないように話を進めるよう心がけましょう。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。