相続手続に必要となる戸籍

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記の際、戸籍謄本の提出が求められます。本記事では、遺産分割協議を経て相続登記をする際に必要となる戸籍謄本について解説をいたします。

相続の場面でなければ被相続人の戸籍を出生に遡って収集する機会は少ないと思います。そして相続人が子・親・兄弟、どの親族になるかで集める戸籍の枚数が変わってきます。

なお、血族相続人には順位がありますので、以下に順位を記載します。血族とは血の繋がりのある親族をイメージしていただければわかりやすいと思いますが、ここには養子縁組も含まれます。ただし、本記事では一般的なケースで解説いたします。

1位 直系卑属

2位 直系尊属

3位 兄弟姉妹

直系卑属がいればその者が相続人になります。いなければ2位の直系尊属が相続人、それもいなければ兄弟姉妹が相続人になります。配偶者は常に第1位の相続人のため、配偶者と血族相続人で遺産を分け合うということになります。(遺産分割協議の結果、どのように分けるかは別論です)

直系卑属(ちょっけいひぞく)

被相続人の子や孫、さらにその下の血族を指します。被相続人が死亡した時点で子が存命であれば子が相続人となりますが、子が死亡していれば孫が相続人となります(これを代襲相続といいます)

子が相続人である場合に集める戸籍は以下です。

①被相続人の死亡から出生に遡る連続した戸籍

②相続人全員の現在戸籍

相続人が死亡した事実が記載されている戸籍が被相続人の最後の戸籍です。ここには配偶者も記載されておりますので、配偶者の現在戸籍も兼ねます。なお、相続開始から数十年経過している場合、被相続人の死亡の後に戸籍が改製されていることもありますので、その場合は配偶者の現在戸籍は別途取得が必要です。

なお、子が未婚の場合、被相続人の戸籍に子の現在戸籍も兼ねますので、別途取得する必要はありません。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)

被相続人の父母・祖父母など、被相続人の上の世代の直系血族を指します。被相続人に子・孫がいない場合は直系尊属が相続人になります。被相続人が平均寿命前後で亡くなる場合、既に直系尊属も亡くなっていることが多いため、直系卑属や兄弟姉妹が相続人になるケースに比べると多くはありません。

必要な書類は以下です。

①被相続人の死亡から出生に遡る連続した戸籍

②相続人全員の現在戸籍

基本的に直系卑属のケースと同様ですが、被相続人が未婚の場合は父母の戸籍に記載されていることが通常ですので、その場合は父母の現在戸籍も兼ねます。

兄弟姉妹(けいていしまい)

子・孫がおらず、直系尊属も既に亡くなっている場合、兄弟姉妹が相続人になります。この場合、誰が兄弟姉妹なのかを確定する必要があり、最も取得する戸籍の量が多くなります。

①被相続人の死亡から出生に遡る連続した戸籍

②相続人全員の現在戸籍

③父母の死亡から出生までの戸籍一式と祖父母について死亡の記載のある除籍謄本

③が増えました。この③を取得することにより、兄弟姉妹が誰であるのかを特定することになります。

兄弟姉妹の相続が発生した場合、収集する戸籍の分量が多くなることが多いため、専門家に依頼した場合の報酬も高くなる傾向があります。


子が相続人になる最も一般的なケースで、戸籍は通常5通前後であることが多いのですが、兄弟姉妹の相続になる場合、その数倍の分量になることも珍しくありません。戸籍は古いほど解読が難しくなります(毛筆・クセ字・かすれなどで読みづらかったりします)。そのため、兄弟相続などに関しては専門職に相談することをお勧めいたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。