相続放棄の家庭裁判所ごとの取り扱い

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

最近、家庭裁判所へ提出する書類作成業務が増えてきました。例えば相続放棄をする場合に予め郵便切手を同封する必要があり(予納郵券と言います)、予納郵券の金額の内訳は裁判所のHPに掲載されていることが多いのですが、実際にその金額の切手を同封した際に、金額が違うと指摘されたことがあったので、それから事前に電話で確認するようにしています。

以前、北海道外のとある裁判所に電話確認し、ついでに必要書類を聞いてみましたところ、「被相続人の親が相続放棄をし、その親が昭和生まれの場合は更にその親世代の死亡が確認できる戸籍が必要です」とのことでした。当裁判所ではと仰っており、これは裁判所によって取り扱いが異なる証左ですので、事前に確認をしておくことがスムーズな手続に繋がると考えます。特に相続放棄手続は失敗した場合にやり直しが効きませんので慎重に手続を進めるべきです。

また、裁判所ごとの違いはありませんが、同一の相続放棄において既に一度提出された書類があるときに、同じ書類を出す必要はありません。極端な話、相続放棄者の戸籍のみしか出さなくてもいいようなケースも考えられますがその点はどうなのでしょうか。何も出さないより、少なくとも手元にある戸籍は提出しておく方が印象としては良いと思いますので提出するべきかと個人的には思います。

ここからは司法書士に書類作成を依頼したケースなのですが、家庭裁判所に対し相続放棄の申述をする際に、司法書士は代理人となることはできず、書類作成をできるに留まります。つまり、戸籍など提出した書類の受け取りをすることはできません。ただし、申述書を提出する際に、原本類は司法書士事務所へ返送を求める旨の上申書(様式は自由)に本人が署名捺印等をしていれば、レターパックなどを同封することにより司法書士の事務所に返送することが可能になるようです。ただしこれについても全ての家庭裁判所は同一ルールで運用しているかは定かでありませんので、やはり事前に確認はすべきだと思います。

今後相続が増えるとともに、相続放棄の件数も増えていくことが予想されます。相続登記が義務化されましたが、登記申請を行うまでに3年の猶予期間があります。しかし、相続放棄は「自分が相続人になったことを知った時から3か月」以内に申述することが基本ですので、早めに動くことを推奨いたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。