相続登記の書類集め

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

相続登記をする際、以下のような書類が必要になります。

被相続人(不動産名義人)の戸籍

いわゆる「戸籍謄本」で全部事項証明とかとも呼ばれます。基本的には被相続人の出生から死亡までの連続したものが必要になります。本籍地の役所の戸籍住民課などで取得することができますが、昨年から広域交付制度が始まったので、本籍地でない役所に対しても請求することができるようになりました。ただし、被相続人との続柄によって広域交付できる範囲が限られているので、事前に確認する必要があります。こちらに関してはまた解説記事をアップする予定です。

相続人の戸籍

相続人の戸籍は、出生から死亡までの連続したものを取る必要はありません。相続開始後の日付で、現行の戸籍を取得すればOKです。相続開始後に相続人が生存していたことを証明するために相続開始後に取得する必要があります。後述する遺産分割協議をする場合においても相続人全員の戸籍が必要です。

遺産分割協議書

複数の相続人がおり、相続不動産を誰が取得するのかを協議している場合に必要になります。相続人の一部で遺産分割協議をしている場合は協議が無効ですので、必ず全員で協議している必要があります。また、遺産分割協議書には全員の実印を押印している必要があります。住所氏名は記名(プリンターで印字されたもの)でも構いませんが、可能な限り自書してもらう方が後日の紛争予防にはなると思います。

ちなみに相続人が1名の場合は当然不要です。また、お勧めはしませんが、法定相続分によって不動産を共有とする場合にも遺産分割協議書は不要となります。

印鑑証明書

遺産分割協議書に押印した印鑑が個人実印として登録されたものなのか確認するために必要です。発行後何カ月以内といった期間制限の縛りはありません。マイナンバーカードがあればコンビニで発行でき、コンビニで発行した印鑑証明書も登記申請時に使用することは可能です。

遺産分割協議書に押印した実印の確認の意味合いがあるため、遺産分割協議書を提出しないケースにおいては印鑑証明書も不要です。

住民票の除票、戸籍の附票

これにより被相続人の最後の住所と前住所を証明することができます。不動産の登記簿には所有者(被相続人)の住所が記載されているのですが、ここに記載されている住所と最後の住所が一致していることにより、被相続人と不動産の所有者が同一人物であることを法務局が判断します。そのため、登記簿の住所と被相続人の最後の住所が異なるときは「戸籍の附票」を取得することになります。

上記の書類を取得する際、「本籍地」「筆頭者(戸籍附票の場合)」を記載してもらうように窓口に伝えてください。※何も言わないと載ってこないため

被相続人の住所がわからない場合は住民票の除票を取得するところから書類収集を始めるのがスムーズかと思います。

相続人の住民票

不動産を取得する相続人の住所が登記簿に記載されます。そのため、相続人の住民票を添付する必要があります。そのため、不動産を相続しない他の相続人の住民票は不要です。こちらについては本籍地を記載しておく必要はありません。

評価証明書

相続登記申請と同時に、法務局に対し登録免許税という税金を納める必要があります。この登録免許税の計算の基礎となるのが固定資産税納税通知書等に記載されている「評価額」になります。評価額が判るものなら「固定資産納税通知書」「固定資産評価証明書」「名寄帳」などなんでも良く(※ただし、申請する年度の評価額の記載であること)、原本でなくコピーでも構いません。ただし、これについては法務局により扱いが異なるようで、北海道内の法務局であれば上に書いた内容でほぼ問題ありませんが、北海道外の法務局には原本を求めてくるところもありますし、評価証明自体が不要という法務局もあるようです。

相続関係説明図

こちらはどこかで取得するものではなく、遺産分割協議書同様に自ら作成する書類です。

法務局に提出する書類は基本的に原本で、それを返却して欲しい場合はコピーを添付し、原本還付処理を行う必要があります。例えば相続登記以外の各種の相続手続においては戸籍の束を使い回すことが多いため、都度返却してもらう必要があります。ですが膨大な戸籍の束のコピーを取り原本還付処理をするのは事務負担が大きいです。そこで、こちらの相続関係説明図を添付することで戸籍のコピーを取らずに戸籍の原本を返却してもらうことができます。そのような主旨の書類であるため、戸籍の返却が不要な場合には敢えて提出する必要はありません。


今回は標準的な必要書類の記載です。以下に法務局作成の一覧図を掲載しておきます。

他にも遺言書がある場合など様々なケースがありますが、今回は割愛しております。

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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。