記述式の学習方法

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

今年の司法書士試験から記述の得点配分が従前の倍になり、択一に重心が寄っていた試験制度の時代が終わりました。私は記述で苦労し、記述で上乗せすることができない受験生でしたので現行の試験制度だとさらに苦労することが想像できます。

司法書士試験は、午前午後ともに択一の足切り点を突破して初めて記述の採点がされるという試験制度です。私が初めて記述の採点をしてもらった年度、運よく記述の足切り点(記述にも足切り点があります)を突破してしまったため、「記述が得意」という錯覚に陥ってしまいました。そのため、記述式の勉強が疎かになり、その後2回の試験において記述は足切りに引っかかります。そこで初めて記述が苦手ということに気付きます。なお、初採点の副産物として、記述の足切りを突破するのも不可能ではないという成功体験も得ることができました。

それから記述式の学習に力点を移して学習を進めるようになります。択一はある程度の上乗せができており、知識不足ではないことは判っていたので、少ない時間で膨大な情報を捌く解法をブラッシュアップすることにしました。

答案構成用紙を使うか否か

それまで答案構成用紙を使用していたのですが、まずここから見直しました。勤務先の司法書士に尋ねたところ、答案構成用紙は使っていなかったという方が多かったためです。

過去の答練問題や以下に述べる学習教材で演習する際に直接書き込みをすると、後日、再度演習する際に消しゴムで書き込みを消す必要があるため、それが面倒だったことや、コピー機が当時なかった(あったとしても面倒でコピーを取らなかったと思います)ため、答案構成用紙を使う方法をメインにしておりましたが、答案構成をすると時間がかかるというデメリットがあるのも事実です。実際、過去の試験で時間が足りなくなったこともあり、答案構成用紙を使い続けてよいのか?という疑問が常にありました。

当時、「答案構成用紙をほぼ使わない記述解法講座」が大手資格予備校で開講されていたため、それを受講しました。受講してみると「ほぼ使わない」の「ほぼ」の言葉通り、答案構成用紙は使用するようでした(印象としてはガッツリ使う)ので、答案構成用紙は使用することとしました。その際に、書き込む文字は簡易な記号化したり漢字を作成したりして、答案構成用紙に書き込む時間を短縮するようにしました。

使用した教材

次に教材は、コンパクトな問題集である「司法書士 山本浩司のautoma system 不動産登記法 記述式」をメインで使用していました。基礎力をつけるには必要充分な教材ですが、試験問題の分量に対して対策は難しいため、ここは答練を活用しました。最終的には答練問題や過去問で試験対策するのがいいと思いますが、平時の学習では上記のオートマ記述で基礎力を固めることをお勧めします。

使用した答練・模試

答練も各社用意されており、私はそれまで伊藤塾の答練を活用しておりました。特徴としては、本質的な部分を問う良問が揃っていますが、少し別の資格予備校の問題も解いてみたいと思い、LECの答練を受けることにしました。受けた印象としては、伊藤塾よりも本試験の問題に近い感覚だったことを覚えています。※令和2年度時点の印象です。

模試に関しては少額で受けることができますので、色々受けてみると良いと思います。同じ予備校の模試を何年か受けていると、作問に慣れてしまい本試験ではありえないような高得点を取れてしまうことが多いです。それはそれでモチベーションが上がりますが、試験合格という目標に対しての意味はありません。そのため、私は3社の模試を全て受けました。


記述の学習は対策が難しいですが、最高の対策は択一の時間短縮です。私は択一→記述の順で解いておりましたが、択一を45分で駆け抜けることができれば、答案構成に15分かかっても余裕があります。択一は判断できない問題はどんどん飛ばして、とにかく駆け抜けることを第一とします。飛ばした問題はどうせ難しく正答率の低い問題です。記述である程度書いたら戻って解き直せば、1問に掛ける時間も増えているはずです。記述で苦労されている方はぜひ戦い方を見直してみてください。


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投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。