遺言公正証書の作成をお勧めします
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
日常、相続業務を取り扱っておりますが、認知症や知的障害の相続人がいる、その他の理由で遺産分割協議を行うことが難しい、事情があり成年後見人などの申立てをすることができないなど、様々な事情で相続手続を困難にさせ、停滞させているケースが多く見られます。
仮に、被相続人の方が自分自身の相続が開始したときに相続手続が困難になる要因に心当たりがあるようでしたら、遺言書の作成をお勧めします。
例えば不要な土地の相続をした場合に、その土地の相続人を遺言書で決めておけば、その相続人を直接土地の登記名義人にすることも可能です。さらに言えば遺言書で定めておけば換価分割も可能です。これは不要な土地を相続人Aに相続させ、相続人Aが土地を売却し、売却代金を他の相続人たちと分け合うという分割方法です。これは遺産分割協議だけでなく、遺言書による指定も可能です。
上記の通り、遺言書において遺産の分割方法を定めなかった場合、法定相続分で相続登記(または相続人申告登記)を入れざるを得ません。そうすると名義人が複数人になるため、そのあとの相続手続がさらにややこしいものになります。
遺言書の方式については①遺言公正証書②自筆証書遺言があります。これ以外にもありますが、実際にはあまり使われていない方法のため割愛します。②自筆証書遺言には、法務局で保管してもらうサービスも最近開始しております。
お勧めする順番ですが、①公正証書遺言→②自筆証書遺言(法務局保管)→③自筆証書遺言(自分で保管)です。
公正証書の場合、公証役場に支払う費用が発生します(費用は遺産額により異なります)。その他司法書士依頼していれば司法書士への報酬費用も発生します。そのため、この3つの方法のうちでは最も高額ですが、遺言書作成において公証人と司法書士等の法律の専門家が介在するため内容に問題がないでしょう。また、公正証書の原本は公証役場にて保管されますので、紛失の恐れもありません(家庭裁判所による検認手続は不要)。従って、この方法を最もお勧めいたします。
なお、自筆証書遺言(法務局保管)については3900円と安価に保管してもらうことができ、紛失の恐れはありません(家庭裁判所による検認手続は不要)。ただし、形式的な審査はしてもらえますが内容面の審査はしませんので、遺言者の死後、内容を確認してみると法的に正しくないという可能性は残ります。自己保管の自筆証書遺言について費用はほぼゼロ(ただし家庭裁判所による検認手続は必要)ですが、紛失の恐れがあり、内容が誤っている場合もあります。
いかがでしたでしょうか。確かに遺言公正証書の作成の際に費用がかかるというデメリットもありますが、作成の際に士業に依頼をしておくことで、スムーズに遺言執行者への就任を依頼することも可能です。自分にはまだ早いと思う方も多くいらっしゃいますが、意思がはっきりしているうちに遺言書を作成しておくことをお勧めいたします。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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