みなし解散登記がされた会社の復活
今回は株式会社のみなし解散の記事です。
株式会社が12年以上登記をしていない場合、法務局の職権により解散登記を入れられることがあります。会社法上、役員の任期を最長10年と定めることが可能であるため(※条件あり)。12年間なんの登記もしていないのであれば、休眠会社と判断され、法務局からの通知の後、返答をしなければ解散登記が入ります。
このことを「みなし解散」と言い、全部事項証明書に「会社法第472条第1項の規定により解散」の文言が記載されます。
みなし解散登記がされると、会社清算の目的で存在する会社という扱いになりますので、会社の本来の事業ができなくなる場合があります。
しかし、みなし解散の日から3年以内であれば「会社継続」の登記をすることによって、解散登記が入る前の状態に戻すことができます。
具体的には以下の登記が必要になり、登録免許税は比較的高いです。
①清算人就任登記(登録免許税:9,000円)
②会社継続登記(登録免許税:3万円)
③役員変更登記(登録免許税:1万円※資本金1億円を超える会社の場合3万円)
上記のように最低でも4万9千円から登録免許税が掛かりますし、司法書士に依頼する場合は当然その報酬が掛かります。その他にも登記懈怠があったということで、裁判所から代表取締役個人に対して過料が課されることもありますので、役員変更登記はその都度行っておくことが望ましいです。
また、みなし解散登記が入った場合、監査役以外の役員は自動的に退任となり、会社届出印にかかる印鑑カードも失効してしまうため、会社継続とともに新たに取締役を選任し、代表取締役が印鑑カードの交付申請を行う必要があります。
事業を廃止していない旨の届出を行っていたとしても、それ以前の役員変更登記が必要になりますが、ここで役員変更登記を行う方が結果としてかかる費用は少額になります。とはいえ過料処分は免れません。
なお必要書類はおおむね以下の通りです。
- 登記申請書
- 定款
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 取締役会を開いた会社は、取締役会議事録
- 新役員の就任承諾書
- 新役員の個人の印鑑証明書
- 新代表取締役(または新代表理事)による印鑑届出書
なお、定款については定款認証をおこなった公証人役場において、20年間保管されておりますので、会社の創立から20年以内であれば謄本の請求することが可能です。しかし、定款認証以降に定款内容を変更している場合はその変更内容は反映されておりませんのでご注意ください。
なお、司法書士にご依頼いただくことで定款を現在の内容に整理することも可能ですので、会社設立から20年以上経過している場合、定款を変更している場合などはご相談ください。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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