相続登記雑感

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

札幌で開業してから相続登記を数件受任しておりますが、不動産の所在地は札幌市内ではない北海道内の物件もあります。抵当権が付いたままになっている物件の比率が高いと感じております。絶対的な受任件数が少ないため単なる偶然の可能性がありますが、先日東京の司法書士の方が執筆されていたブログにも、北海道の相続登記で消し忘れの抵当権が残っていたという内容の記載がありましたので、もしかすると北海道特有なのかなと感じます。ちなみに私が東京の司法書士事務所で勤務していたころ、抵当権の付いた物件の相続登記というのはありませんでした。

多くは住宅ローンと同時に抵当権設定契約をし、住宅ローンを払い終わったにも関わらずそのまま抵当権抹消登記をせず、相続登記の際に気付くこととなったというパターンです。

既に住宅ローンを完済しており抵当権が効力を失っている場合においても、相続した物件を売却する場合は抵当権が付着したままだと売却できず、売主の責任において抹消しなければならないことがほとんどです。

とはいうものの住宅ローンの存在自体を相続人が認識していることは稀ですし、住宅ローンの弁済証書を含む抹消書類が手元にあることはあまりないでしょう。

そのため、抵当権を抹消するための書類を金融機関に再発行してもらうことになるのですが、これはかなり時間がかかります。もし売買を視野に入れて相続登記をすることになった場合は、まず法務局にて登記簿を取得することをお勧めいたします。登記簿下部に「乙区」という項目があり、かつ「抵当権」などが記載されていたら抵当権自体は設定されています。しかし、その文字に下線が入っており、抵当権の下に「○番抵当権抹消」という項目があれば抵当権は抹消されています。下線や抹消がなければ抵当権は残っておりますので抹消が必要です。

抵当権の抹消にはまず金融機関へ連絡をし、不動産所有者の相続人であることを伝えましょう。そうすると金融機関の担当者の方より必要書類等の指示があると思いますので、指示のあった書類を収集し金融機関へ提出します。そうすると金融機関で調査が始まり必要書類が再発行されます(かなり時間がかかります)ので、それをもって抵当権抹消登記申請を行う流れとなります。

ここまでお読みいただきありがとうございました。気になる方はまず対象不動産の登記簿の取得から始めてみてはいかがでしょうか?

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
最新の投稿