会社の商号はなんでもいいわけではない2
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
以前の記事「会社の商号はなんでもいいわけではない」において、商号を決定するルールをいくつか解説しました。前回は商号を決定する際の形式面で、使える文字や記号、使ってはいけない文言などについて説明しました。
今回は、外部的な事情で商号を使うことができないパターンを解説します。
同一商号、同一本店の禁止
まずは条文を掲載します。
商業登記法
(同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)
第二十七条 商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。
仮に「札幌市中央区大通一丁目1番1号 大通ビル101号室」に登記された本店を置く「株式会社鷲頭」という会社があったとします。この同一の住所に「株式会社鷲頭」という会社は設立できないということです。
同一の商号であり、同一の本店なので商業登記法上禁止されます。ただし、同一の住所に「鷲頭株式会社」や「株式会社イーグルヘッド」を設立することは可能です。101号室まで同じでもOKです。実際にこのパターンは多いので、よく会社訪問した際に複数の社名の表札が掛かっているのを見ます。
ところが注意しなければならないのは、同一の建物内で部屋が違う例「102号室」「303号室」だったような場合です、原則に従えばこれは問題ないような気がしますが、最近の登記申請の事例では同一本店であり登記できないという指摘が入っているケースもあるようです。念のため事前に照会したほうがよいでしょう。
極端な話をすれば、設立会社の商号に世界的な企業の名前を冠しても商業登記法の観点から言うと問題はないということになります。
ところが、別の観点から問題が生じることになります。
商号の不正目的利用
会社法
第八条 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。
2 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
会社法第8条において、このように規定されております。悪だくみをして有名な企業と同じ社名の会社を設立した場合は差し止めを受ける可能性があるということです。
さらに不正競争防止法において、著名な商号と同一もしくは類似の商号を利用することは禁止されており、損害賠償請求の訴えを起こされる可能性もありますので、商号は慎重に定めるべきできでしょう。この点において、当事務所でも商標の専門家である弁理士と連携し、フォローできるような体制を整えなければいけないと考えています。
会社を設立し新たなビジネスの開始することになりますので、商号については皆様「これだ」というものをお考えになります。ここでつまずいてしまうことのないよう、専門家にご相談いただくという選択肢もご検討ください。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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