合同会社から株式会社への組織変更
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
個人事業主が事業をし、ある程度の収益が増えてきた段階で法人なりすることがあります。その際は株式会社や合同会社を設立することが一般的です。株式会社・合同会社を設立するに際し、それぞれのメリット・デメリットはあるものの、例えばコストを抑えて合同会社を設立するとします。事業の規模が拡大してきた段階で、資金調達をしやすい株式会社に変更することが可能なのかという疑問もあるかと思いますが、これは可能です。
持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)→株式会社もできますし、株式会社→持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)も可能です。以下、合同会社→株式会社へ組織変更をする手続方法について記載を進めます。
組織変更計画の作成
まずは組織変更計画書を作成します。その内容において、以下の事項を定める必要があります。
①組織変更後の株式会社の目的,商号,本店所在地および発行可能株式総数
②上記のほか,組織変更後の株式会社の定款で定める事項
③組織変更後の株式会社の役員等の氏名または名称
④持分会社の社員が取得する組織変更後の株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)またはその数の算定方法
⑤上記④の株式の割当に関する事項
⑥組織変更後の株式会社が持分会社の社員に対してその持分に代わる金銭等(組織変更後の株式会社の株式を除く)を交付するときは、その内容等※株式を取得せずに金銭を取得した持分会社の社員は株主とはなりません。また、社債を交付された持分会社の社員は、社債権者となります。
⑦上記⑥の場合には、金銭等の割当に関する事項
⑧効力発生日
総社員の同意
効力発生日の前日までに総社員の同意を得る必要があります。合同会社から株式会社に転換するという大きな変更のため、社員全員の同意が必要になります。
債権者保護手続き
債務者の会社形態が変わる大きな変更ですので、債権者を保護する必要があります。その方法ですが、会社の公告方法として官報公告を選択している合同会社については、官報公告+知れたる債務者に対して格別の催告が必要になります。しかし、公告方法を「日刊新聞」または「電子公告」にしている合同会社の場合は、それらの公告方法と併せて、官報公告をすることにより、個別の債権者に対する催告は不要になります。
効力発生
組織変更を行う場合、組織変更計画において定めた日に効力が発生します。
なお、業務執行社員の過半数の一致により効力発生日を変更することは可能です。ケースとしては債権者保護手続きが終わらなそうな場合などが考えられます。
登記申請
2つの登記申請を行います。1つは株式会社の組織変更による設立登記。もう1つは合同会社の組織変更による解散登記です。
この際の申請人ですが、組織変更後の株式会社の代表取締役が行います。合同会社の解散も設立後の株式会社の代表取締役が行います。
以上が合同会社から株式会社への組織変更の簡単な流れになります。資金調達を行い事業規模の拡大を考えている場合にぜひご相談ください。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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