住宅用家屋証明書は事前に取得できないか?

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

司法書士業務の1つに、不動産売買の決済立会というものがあります。おおまかに言うと、不動産の売主、買主、不動産仲介業者、銀行、司法書士などが一堂に会して、書類や金銭の授受、鍵の受け渡しなどを行います。この際に司法書士は、本人確認、不動産の確認、売買の意思確認を行います。集まったり集まらなかったり、やり方は様々ですが、大体こんな感じです。

居住用の中古物件の売買や建売住宅などを購入され、要件を満たしている場合、自治体に申請することによって、表題の「住宅用家屋証明書」が発行されます。これを登記申請の際に提出することにより、登録免許税が軽減されます。家屋の保存登記は0.4%→0.15%、住宅ローンの抵当権設定登記は0.4%→0.1%という具合です。

司法書士は決済当日に登記申請をするのですが、その際に住宅用家屋証明書を添付します。この住宅用家屋証明書を取得するタイミングですが、決済日より前に取得することができました。

それまで勤務していた事務所では、住宅用家屋証明書の申請書に記載する「取得日」を将来日付(=決済日)にすることはできないため、決済日より前に住宅用家屋証明を取得することができず、決済日当日に役所に行かなければならないと教えられておりました。そのため、決済日当日に東京の自宅から朝一で千葉県の外房の市町村に家屋証明書を取りに行ったこともありました。ただそういった場合、当事務所のような1人事務所だと対応が困難になる(朝決済に立ち会って、それから遠方に往復してだと当日中に登記申請できない恐れがある)と思い、決済メインの同業者に相談したところ、売買契約書に記載されている日付を住宅用家屋証明書の取得日の欄に記載することで、郵送でも家屋証明が取得できるということでした。

そのため、売買契約日の日付で住宅用家屋証明書の申請をしたところ、そのまま住宅用家屋証明書を取得することができました。ただ、同業者の執筆されているブログにて、法務局により、住宅用家屋証明書に記載されている取得日(売買契約日付)と、登記申請書に記載されている売買日付(決済日)が異なる場合は受理できないため、住宅用家屋証明書を再発行する必要があることが述べられておりましたので、札幌市役所に確認をしたところ、回答していただいた職員の方の経験上、その理由で再発行したことはないとのことでした。

今まで、決済当日にしか取得できないと思っていた住宅用家屋証明書を事前に取得することができると判っただけでも大きな進歩です。色々な事務所のやり方を聞くことは重要だなと思いました。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。