事業目的の定め方

札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。

会社設立のご依頼が増えきております。株式会社や合同会社など、会社の種類を問わず始めに定款を作成する必要があり、その際に頭を悩ますのは「事業目的」になると思います。専門家に依頼せずにご自身で定款を作成するケースにおいて、一体どのように記載をすればよいのか悩ましいところだと思いますので、その点について解説を加えます。

明確性

事業の目的は登記事項ですので、法務局で履歴事項全部証明書を取得することで誰でも見ることができます。したがって、一般の方から見て「どういう事業」を行っている会社なのかがあきらかでなくてはなりません。

例えば不動産業を営んでいくのであれば、同業者の登記簿を取得するなどしてその事業目的欄を参考にするなども一つの方法と思います。

適法性

当然ですが事業目的欄に違法な目的を記載することはできません「拳銃の販売」「大麻の栽培」などです。これら違法(犯罪)なものを記載することができないのは常識的にご理解いただけると思いますが、資格を保有していなければできないこともあります。例えば「登記申請業務」は、司法書士や土地家屋調査士など資格者のみに認められた業務のため記載することはできませんのでご注意ください。

営利性

会社とは利益を追求する組織であるため、事業目的もそのように記載していく必要があります。また、原則として会社が目的外の事業によって得た利益については、それが無効となった場合、不当利得(法律上の原因に基づかない利益)と判断され、原状回復の義務を負うことになりかねませんのでご注意ください。

なお、営利目的が必要であるため「ボランティア活動」などは記載できないと考えられます。

目的の数

記載する目的の数に上限はありません。設立当初はモチベーションが高いのであれもこれもと書きたくなってしまいますが、メイン事業とそこに関連する内容に絞ってシンプルに記載することを推奨しています。多くとも10個程度に抑えたほうが、口座開設の際などにおいてもスムーズかと考えられます。

許認可取得の際に必要と考えられる文言の有無

会社が成立した後に、許認可を取得することを想定している場合(例:古物商を取得する場合等)に、許認可の申請の際、会社の履歴事項全部証明書を求められ、そこに記載されている会社の目的をチェックされることがあります。上記の例ですと、目的欄に「古物商」の文言が入っていない場合に、それを追加するように指摘される可能性もありますので、許認可取得を考えている場合や、今後行う業務で想定しているものがあればそれを記載しておくと良いでしょう。定款変更をして登記をするとなると登録免許税の負担が発生します。


以上、会社設立の際の目的の定め方について解説をしました。この部分は本当に悩むところですので、是非専門家にご相談くださるようお願いいたします。

投稿者プロフィール

鷲頭正明
鷲頭正明
令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。