権利証を紛失しているときは
札幌宮の森の司法書士、鷲頭です。
不動産の権利証を紛失したというお問合せをいただくことがあります。これは20年程前までに活用されていたもので、現在は登記識別情報通知というものに置き換わっております。ただし、不動産の権利の処分(売買・贈与等)を行う場合に必要な重要書類であり、権利証や登記識別情報を紛失した場合、再発行されないのが原則です。
それでも引っ越しや掃除、事務作業など様々な事情で紛失してしまうことはあります。そのような場合に不動産を絶対に売ることができないのかというと、そうではありません。代替手段はあります。
それが法務局の「事前通知制度」と、司法書士など資格者の「本人確認」というものです。今回は法務局の事前通知制度について解説します。
登記所から登記名義人あてに、「事前通知」(不動産登記法第23条第1項)により本人であることの確認をします。この「事前通知」とは、権利証(登記識別情報)を提供すべき登記名義人の住所地にあて、本人限定受取郵便(宛先が法人なら書留郵便)により、登記の申請があった旨、及びその申請の内容が真実であるときは2週間以内にその旨の申出をすべき旨の通知をし、この通知に対して、2週間以内に申請に間違いがない旨の申出がされることをもって、本人からの申請であることを確認するというものです。
以下のような書面が届きます。
ただし、法務局が発送した日から2週間(送り先が外国の場合は4週間)経っても返送が無いときは、登記申請自体が却下されるか申請人により取り下げをすることとなります。そういった事情で手続に時間がかかるというデメリットがあり、金融機関が絡んでくるような不動産取引には向いていません。その場合は、次回の記事にて解説する「司法書士などの資格者が行う本人確認」を活用することとなります。
投稿者プロフィール
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令和2年度司法書士試験合格。東京都内の司法書士法人、司法書士・行政書士事務所で実務経験を積み、令和5年生まれ故郷である札幌で司法書士事務所開業。
会社・法人登記及び相続関連業務を得意としています。
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